お馬鹿実験室:アポダイゼーションフィルターでとろけるようなボケを実現できるのか?

お馬鹿実験室:アポダイゼーションフィルターでとろけるようなボケを実現できるのか?

とろけるボケって何?

ボケと言えば思いつくのは以下のようなことですね。

  • 明るいレンズほど大きくボケる。
  • 望遠レンズほど大きくボケる。
  • 被写体と背景の距離が遠いほど大きくボケる。
  • 一般に後ボケの方が前ボケよりもキレイにボケる。
  • 前ボケをうまく取り入れると立体感や幻想的な感じがよく出る。
  • ソフトフォーカスレンズというものがある(オートフォーカス全盛の現在は少なくなった)。
  • ボケには「硬い」「柔らかい」「二線ボケ」「玉ボケ(ちょっと違う)」「きれい」「うるさい/汚い」等の表現がある。

ほとんどボケの「量」に関することですが、ボケの美しさに関することも少し出てきます。「硬い」「うるさい」等と表現されるレンズは「ボケが美しくない」と言えますね。

ボケの量が多い(大きくボケる)と幻想的な感じになります。135mm F2〜300mm F4ぐらいのレンズでピントをシビアに合わせて背景と距離をとると、それはもう被写体が際立ちます。

対して、私が撮りたいのは女性ポートレートが主なので、それほどの望遠は使いません。35・50・85mmがメインです。コミュニケーションをとりながら自然な表情を美しく撮ることを心掛けています。必然的に望遠を使うよりもボケ量が少なくなりますので、ボケの質に目がいくわけです。

では素晴らしいボケのレンズって何?と調べるとたくさんありますが、ソニーのSTFレンズに行き着きました。ミノルタ時代からあるマニュアルフォーカスレンズです。サンプル写真でその効果がたいへんよく分かります。

https://www.sony.jp/ichigan/community/contents/lens/stf.html

レンズ設計自体も大切ですが「ボケをきれいにするテクニック」が使われている点に目が行きました。それがアポダイゼーションフィルターです。

アポダイゼーションフィルターとは?

詳しくはこちらをご覧ください。

http://fujifilm.jp/support/digitalcamera/knowledge/lens/apd/index.html

フジフイルムがXシステム用に発売したフジノンレンズ XF56mmF1.2 R APD。

要約すると「ボケの輪郭をボカし、美しいボケを実現する(ボケばかり)」ということだと思います。そのためにアポダイゼーションフィルターを採用したと。56mmはフルサイズに換算すると84mm、ポートレートレンズと呼ばれる85mmと同一と見て良いでしょう。ソニーの135mmより使いやすそうです。

  • レンズの中心は素通し。周辺に向かってなだらかに透過率を下げることでボケの輪郭を不明瞭にする(ボカす)。
  • アポダイゼーションフィルターの位置は絞りの近くが最も効果が高い。
  • 透過率の変化曲線は不明。

たぶんこんなカタチではないかな?と思うのですが、曲率は不明です。

apo

やれることからやってみる実験スタート

いきなり最善はできないので、まずは「手作りする価値があるのか?」の検証から始めてみます。要は「周辺にいくほど透過率の低いフィルターを装着すると、ボケの輪郭はボケるか?」を実験します。

ところで、そんな都合の良いフィルターが無いことは確認済みです(T_T

  • 構造のかんたんなオールドレンズなら、バラして絞り付近にフィルターを装着することもできそう。だが、バラして組み立ててテストして・・を繰り返すのはあまりに効率が悪い。そもそもフィルターの固定方法が思いつかない。
  • 致命的に不器用な私は、PC+プリンタを使わなければきれいなグラデーションは作れない。「不透明度の高いインクをエアブラシでフィルターにグラデーション塗装する」とかはできるわけが無い!

まずは2つの絵を描いてみました。

filter

上はグラデーション、下は「ちゃんと計算せずになんとなく周辺に向かって減光率を上げたモノクロ」です。透明シールにプリンタで印刷します。

テスト用レンズはミノルタ・ロッコールMD50mm F1.4です。フィルター径は55mm。プリントした透明シールを貼ってみると、54mm径ぐらいでした。

フィルター無し。

_DSC2015

グラデーションフィルター。

_DSC2014

モノクロフィルター。

_DSC2016

フィルター付きで撮影した物は透明シールを通過しているため、コントラスト低下・解像度低下しています。ボケ方だけを確認したいため、Lightroomで彩度やコントラストを調整しました。

うん、確かにボケが変化してる!

右上部分の拡大写真を掲載します。

フィルター無し。

_DSC2015

グラデーションフィルター。

_DSC2014

モノクロフィルター。

_DSC2016

フィルター無しはボケの輪郭がハッキリしているのに対し、フィルター有りは明らかにボケの輪郭がなめらかになっています。

透明シールに結像の悪化という理由も大いに考えられますが、フォーカス部分の画質劣化具合を考慮すると、結像悪化ばかりとは言えないように思います。

「これ(レンズ前面アポダイゼーションフィルター)、試す価値があるんじゃない?!」というところまで、今日は辿り着きました!

今後

  • モノクロフィルターでも一定の効果はありそう。
  • 手作りでフォーカス部分の画質を確保するには、モノクロフィルター以外あり得ない。
  • フィルターは前面に装着で、オールドレンズばらしは見送り。
  • 黒い画用紙に小さな穴を開けまくろうか?
  • 不透明度の変化曲線と穴の数をちゃんと計算しよう(同心円で分割し、領域ごとの透過率を変化させて見かけ上グラデーションにする)。
  • レンズ加工ではなく前面にフィルターを設置する限り、周辺減光とケラレの問題がつきまとう。ケラレはサイズを変えた円環を貼り付けることで検証できるが、焦点距離・フィルタ枠との構造的な距離等の要因でレンズごとに異なるため、アポダイゼーションフィルターの汎用性は期待できない。
  • 入射光の最周辺減光率(不透明度)は100%で良いのか?
  • アポダイゼーションフィルター装着でレンズは暗くなる。つまりボケ量は小さくなる。ボケの質と量のトレードオフ。どこでバランスを取るか?
  • アポダイゼーションフィルターって売っていないのか探し直す。どうやら天体観測ではポピュラーな事案らしい。

いや、業務用にアポダイゼーションフィルターを売っている会社、もう見つけちゃったんですよ。光学ガラスのレーザー加工をしてるらしいです。もう少し詳しく調べてからレポートします。

この記事は2015/12/14に公開され、138 views読まれました。

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