α7で50mmオールドレンズ撮り比べ7本勝負。【サンプル追加】
2015年09月12日
50mm大好き!
最初に買ったのはキヤノンF-1(改)の標準レンズFD50mm F1.4 S.S.C.でした。当時はズームなど高嶺の花で、そもそもあったかしらん?銀色の締め付けリングを回して、外しては付け・外しては付けの繰り返しでした。「交換レンズ」を持っていないのですから、大きくて重いレンズ固定式カメラと同じです。
その後少しはお小遣いを貯めて買ったのが135mmだったように思いますが、あまりに古い話で定かではありません。広角に興味がなかったんですね。まだ24mmが「超広角」と言われていた頃のことです。
初めてのズームはNew FD35-70mm F4.0 S.S.C.でした。こいつは実に活躍してくれました。たったの2倍ズームですが絞り値固定。学生でも頑張ればなんとか買える値段でした。「広角ってすげー!」と思ったのもこいつのおかげでした。
時はたち、今は「50mm(前後)が大好き!」で使っています。特に女性を撮るには、立体感・ボケ・被写体との距離感・背景の入り具合、すべてにおいて私に合っています。よく85mmが「ポートレートレンズ」と言われますが、私には50mmまたは35mmの方が肌に合います。
α7でフルサイズ画角撮影が可能になり、集めてしまった7本の50mm
すべて開放絞りで比較してみました。レンズによっては「美味しい絞り」が異なりますが、全部比較するとたいへんなことに(*_*;
テスト中に夕陽の射し方が変わってしまったため、色味についてはあまり参考になりません。一応、Tシャツでホワイトバランスをそろえています。
Contax Plannar 50mm F1.4
借り物です。先輩が当時RTSに付けていたものを「今は取り付けるカメラが無いでしょ?」と拝借しています。ヤシカコンタックスマウント。前後対称デザインのプラナータイプ(当然!)です。中古カメラ店では3〜5万円程度のようです。先輩がいつまでもミラーレスを購入しないことを祈っています(^_^;
レンズ状態は上々ですが、マウントに歪みがあるように感じます。
全体にアッサリと見えますが解像感は抜群です。よく言われますが「繊細」です。コントラストが非常に高く見えます。後ろのボケはうるさく感じます。一段絞ると黒が締まり、ボケもなめらかになります。
顔部分のピクセル等倍切り抜き。クリックすると拡大します。
睫毛の表現に繊細さを感じます。
ミノルタNew MD50mm F1.4
新宿クラシックカメラ博2015で購入。7000円。クラシックと呼ぶには新しいような気もしていましたが、もう30年以上前の代物なんですね。
レンズ状態は上々。小さな埃の混入が一点だけ見えます。
骨太で立体感のある表現に感じます。F1.4と大口径な割に、ボケも開放からなめらかです。女の子の浮かび上がり具合が、ツァイスよりも好みです。
顔部分のピクセル等倍切り抜き。クリックすると拡大します。
被写界深度が深く見え、その後一気にボケていくように感じます。
PENTACON auto 50mm F1.8
オールドレンズが面白くなってきて情報を調べている内に目についたレンズ。中野フジヤカメラジャンク館のショウケースで見つけ、即購入。8000円。意外と新しく1975年製。2000年代まで新品が作られていたそうです。ドイツ製。M42マウント。
曇りはありませんが、少々ピントリングが重い感じがします。
二線ボケ傾向が見えますが、なめらかなボケ方です。ピント部分からなだらかにボケていくように見え、New MDとは実に対照的です。ボケが溶け合っているというか?
顔部分のピクセル等倍切り抜き。クリックすると拡大します。
ピント部分の表現は繊細です。色乗りはアッサリしているように見えます。
オリンパスOMズイコー50mm F1.8
新宿東口カメラのアルプス堂ジャンクコーナーで1000円で発掘。祖父が使っていたので、オリンパスを一本欲しかったのです。当然、マウントアダプターの方が高くつきます(^_^;
曇り多め。動作に不安はありません。
ジャンク品ですよ、これ!「オリンパスは良い」とだけ祖父は言っていましたが、繊細さではツァイスの上かも?肌理が細かいというか。実はオリンパスOMズイコーには「50mm F2マクロ」というレンズがあるそうなのです(実物を見たことありません)。コシナツァイスのマクロプラナーと同じ仕様ですね。たいへんレアなレンズで、価格も過去の取引で5万円前後。手を出すどころか打っているのを見たことすらないのですが、欲しくなってしまいました。
顔部分のピクセル等倍切り抜き。クリックすると拡大します。
繊細の上にも繊細。「優しいレンズ」と呼ぶのが良いように思います。
INDUSTAR-61 L/Z MC 50mm F2.8
新宿中古カメラ市場で2万円のブツを発見。細身の寸胴な形状に一目惚れし、帰宅して調べてみるととにかく寄れる!テッサータイプ。絞り形状が「ダビデの星」というのも現代のレンズには絶対に無いということで面白く。結局、11000円でヤフオクにて落札。1989年ソ連製。意外と新しい。M42マウント。
レンズ状態は上。動作にも不安は無く、マクロレンズ並の暗さを除けば一番面白いと思います。
F2.8と2段ほど暗くなりました。当然ボケ量は小さくなっています。二線ボケ傾向は無く穏やかなボケ方です。ピント部分の表現は「大事な部分をザックリ」という感じ。New MDと同様の味に思います。主題が浮いて立ちますね。近接撮影もできるしダビデの星だし、これはいいかも。
ふだん持ち歩いて感じていたのですが、背景の左上、家の屋根の切れ方が他レンズと違います。50mmよりも少し望遠寄りのようです。
顔部分のピクセル等倍切り抜き。クリックすると拡大します。
睫毛などちゃんと解像し、ハロもまったく見られません。けれど全体の印象はザックリ(^_^;
Meyer-Optik Domiplan 50mm F2.8
ネットでいろいろ調べている内に発見したトリプレット(三枚玉)タイプ。6980円と安価に落札。トリプレットって試してみたかったんですよー!ゼブラタイプというのも古めかしくて「見た目」がイイ。問題は最短撮影距離0.75m。相当に惚れ込まないと、これ一本つけてお出かけはしにくい玉です。フィルターは使用不可。
状態は中程度。徹底掃除したい!構造も単純そうだし、これなら私でもなんとかなるかしら?
立体感がものすごい!かわりにボケが汚い(^_^;これは暴れ玉ですね。良いところと悪いところと両極端が同居しています。
顔部分のピクセル等倍切り抜き。クリックすると拡大します。
ピント部分の立体感はナンバーワンではないでしょうか?寄れない・ボケが汚い・それなのにピント部分の表現が極上。背景のボケを上手に整理して使えば、女性を撮るのにとても良いと思います。
キヤノンEF50mm F1.8 STM
番外。最新安価なEFレンズの大定番リニューアル版。基本設計は25年前だけれども、AFをSTM化、コーティングもリニューアルしたものです。比較のために掲載します。リニューアルに伴い、最短撮影距離が0.35mになりました。ペンタコンと同じですね。
「オールドレンズの魅力」を語るのが馬鹿らしくなるほど素晴らしい表現ですね(^_^;
解像度の高さはもちろん、ピント部分の立体感・コントラストの高さ・カラーバランスの正常さ・ボケのなめらかさ、どれをとっても一級品です。F1.8なので1.4に比べればボケ量は少ないのですが、ボケた背景からの浮き立ち方も抜群です。EOSならAFで、しかも軽量です。
顔部分のピクセル等倍切り抜き。クリックすると拡大します。
文句無し(^_^;
これを使わずにオールドレンズを使うからには、こだわりが無いと意味がありません。
どれを選ぶ?
文句無しにEF50mm F1.8 STMです!近接撮影もこなせるし、新品で16000円前後と安いし。フルサイズEOSを使っている人は、初めての単焦点はこれが一番でしょう。満足できなくなればシグマのF1.4、ツァイスのOtus(40万超え)とかありますし。
と、冗談はさておき。
一本だけ選ぶなら、私はインダスターです。解像しているのに骨太な表現、寄れる、細身でカッコ良い筐体、レンズ先端にある無段階の絞りが意外と使いやすい。「これがF2.0なら万能なのになあ」と思いますが、味的にもオールドレンズらしさ抜群です。
次点は2本。インダスターと同傾向の表現をするミノルタNew MDと、暴れん坊ドミプランです。
New MDは0.45mと一般的な近接撮影能力ですが、F1.4です。玉数も多く、1万円以下で程度の良い物を手に入れやすいのも◎。骨太レンズが私の好みだとよく分かりました。
ドミプランは、使うのがとても難しいと思います。まずテーブルフォトには役立たずです。お散歩レンズにはまったく向かないでしょう。けれどこの立体感を活かさない手はありません。この表現はEF50mmにも無いと思います。ふだんは持ち歩かないけれど、条件を整えたらぜひ使いたい。そんなレンズです。他のトリプレットレンズも入手したくなりました。
INDUSTAR-61 L/Z MC 50mm F2.8の一番美味しいところ
全絞り値画像を比較すると、F4.0が一番良いように思います。
背景がちゃんとボケ、ボケ方がなめらかになります。ピント部分も繊細さと透明感が加わるように思います。暗部も潰れません。色乗りはコッテリしてきます。
Contax PlannarのF4.0は、こちらの画像です。
透明感・繊細さともインダスターより上。コンタックス・プラナーの方が正しい写り方だとは思いますが、面白いのはインダスターです。光の状態が違うので、断言するのもまずいんですけどね(^_^;
インダスターで他の物を撮ってみました。
最短撮影距離は0.28mぐらいのようです。感覚的には1/3マクロ。ここまで寄るとF2.8でもよくボケますね。
工事中でシートを剥がしたフロア。ただのコンクリなんですが、色がのっています。
近接時背景の大デフォーカス部分は彩度が落ちるように見えます。主題が鮮やかだからコントラストが引き立つのかなあ?
こういうのはお得意です。
歪曲は単焦点50mmとしては大きいですね。
質感はたいへん良く出ます。
F2.8でも近接では大きなボケが楽しめます。
F5.6程度に絞ると「ダビデの星」ボケです。夜景以外に木漏れ日等でも楽しめます。
かように単焦点標準レンズは、明るい・軽い・小さい・写りが良い・安いと良いことだらけなのですが「ズームできないの〜!?」と見当違いなことを言う入門者を優先するためか、APS-C機には用意されていません。せいぜいシグマ30mm F1.4ぐらい。でもあれ、重いし高いんですよ〜。EF-S24mm F2.8 STMという素晴らしい「準・標準」はありますが、EF-S30mm F1.8 STM(フルサイズ換算48mm)あたりをコンパクトに軽く安く出して欲しいものです。
この記事は2015/09/12に公開され、146 views読まれました。
次回は光を揃えてテストして頂きたいものです
それだけ揃えていらっしゃるので勿体無い
テストチャートも入れてもらえるとより信憑性が高くなりますので
ぜひお願いしたいです
ですよねー(^_^;
せめてボケと解像力は分かるかな?と横着をしました。
だいぶ手放して、良い物しか残しませんでしたが、別の物が増えています。
モデルつかまえ次第、再挑戦したいと思います。
・・・OM50mm F2マクロとエルマーが入手できたら何がなんでも試したいです。
祖父の遺品のレンズにcontact planar50mm f2があったので検索してこちらを拝見しました。
レンズにより描写が全然違うものなのですね。
大変参考になりました、ありがとうございました。
コンタックスですね。お祖父様、かなりカメラが好きだったのですね。
大切にして、できれば使えるといいですね。