キヤノン一眼レフアクセサリーカタログ1980年版。
2014年12月14日
真っ赤な表紙の「キヤノン一眼レフアクセサリーカタログ」1980年版が荷物の奥から出てきました。カタログ、大好きでよくとってあるのです。最初のページは旧F-1とA-1、隣には「連写一眼」AE-1とAV-1(AE-1の絞り優先AEモデル)が掲載されています。
てっきり、A-1が出たのはNew F-1の後だと思っていたのですが、逆でしたね。この旧F-1(後期型)が、私が最初に買ったカメラです。前期型に比べて、フィルム巻き上げレバーの小刻み巻き上げができるようになったこと・レバー自体の形状が小変更されたことが一番の違いだったように記憶しています。「プロ機材は10年最先端を走れるものを」というコンセプトで、本当に10年たってからNew F-1に代替わりしたように覚えています。
FDレンズは現在のようなバヨネットマウントではなく、スピゴットマウントと言われる「リングによる締め付け型」のマウントでした。他社のバヨネットと異なり、カメラ側のマウント部にプラモデルのバリのような出っ張りがあります。それにリングが噛みつくというような。New FDになってリングは無くなりましたが、レンズ鏡胴すべてをリングにしたようなもので、根本的な変更はありませんでした。「見た目だけバヨネット」と言っていたものです。
この時のF-1は、ホットシューがありません。クリップオンストロボを使うためには巻き上げレバーにかぶせるかたちで「スピードライトカプラー」を装着しなければなりませんでした。まだぎりぎり、フラッシュバルブも使われている時代のものだったからでしょうか?スペックにも「FP級1/2000-1/125秒同調」って書いてありますね。そんな面倒くさい物は使わず、私も松下電器のグリップタイプストロボを使用していました。最初は外光式自動調光すらなく、ピントを合わせた後にその距離目盛りを読み、ガイドナンバーとで計算して絞りを決めていたものです。絞り=ガイドナンバー÷距離(m)です。FDレンズは判絞りごとのクリックですから、そうそう都合のいい絞り値は設定できなかったものです。
後に外光反射式自動調光システムが出てきた時は、本当に驚いて重宝したものです。今では多灯ワイヤレスTTL調光が入門カメラでもできるんですから、隔世の感です。
このカメラ、拡張するとこうなります。
秒間3.5コマの高速モータードライブ!シャッタースピード優先AEが可能になるサーボEEファインダー!ファインダーの電源は、モータードライブを付けた時にはモードラ(当時こう呼んでいました)から供給、単体の時は外部バッテリーが必要でした。総重量は楽に2キロ超え。さらにグリップタイプのストロボを取り付けるととんでもないことに。幸い(?)交換レンズをほとんど持っていなかったので持ち運べたとも言えます。
この、当時最高級のF-1、本体価格は10万円強でした。今日の感覚からするとKissより少し高い程度です。その分、フイルム代がかかったんですね。現像費も必要だし。
レンズは、標準レンズとのセットが当たり前でした。ニコンもアサヒペンタックスもオリンパスも、各社とも50mmまたは55mmのF1.4レンズを組み合わせて打っていました。今のようにキットレンズの大幅ダンピングはありませんでしたが。単に「標準レンズセット」として設定していただけで、価格は本体+レンズの合計金額、パッケージも別でした。のどかな時代だわ。
興味深いスペック。
- モードラ、秒間3.5コマってことは、シャッター押しっぱなしにすると36枚撮りフイルムが10秒で無くなりました。フイルム交換はもちろんそれ以上の時間がかかります。
- 最高級機にして視野率97%。紙焼き(プリント)が前提でしたので、気が狂ったように「視野率100%でなければ!」などとは言わなかったように思います。AE-1にいたっては上下93.5%・左右96%です。そして倍率は0.86倍。現在は0.7倍程度が主流ですので、ファインダーは広かったですね。広くてピント合わせのしやすいファインダーは、現在のものと比べても魅力的です。
- 重量845g。本体だけだと思いの外軽いです。
カメラに必要な機能。
こんな物を見ていると、今のカメラは機能過剰ですね。
- シャッタースピードが制御できて、絞りを設定できて。
- レリーズボタンがあって。現在のような平たいボタンの走りは、コンタックスRTSだったように思いますが、必然性は無いですね。
- シャッターチャージ機構があって。当時は巻き上げとシャッターチャージをレバーでやっていました。巻き上げレバーのカタチをしたシャッターチャージレバーというのもおもしろい気がします。
- AEは欲しいので、それに伴って露出補正ダイヤルはあった方がいいですね。
- ISO設定機能は、フイルム時代と違って必須です。
- セルフタイマーぐらいはあってもいいかな?
- 巻き戻しノブは不要になりました。
デジタルになったから絶対に必要だ!というものは、本当は無いはずなんです。液晶モニタだっていらないし。当時は現像するまで何が写っているか分からなくて、それでも写真を撮っていたんですから。各種ボタン・ダイヤル、無くても「写真を撮る」だけなら困らない。
趣味として使うカメラなら、これぐらい削ぎ落とした物があってもいいと思います。ライカはM60を出しましたが、あれの一眼レフ版ですね。その分、質感とか強度とか磨き込んで欲しいです。
良かったこと。
本体の薄さは、フイルム時代は本当に良かったです。EOS-1(フイルム)からEOS 20Dに持ち替えた時「こんな分厚いカメラ、イヤだなあ」と思ったものです。
フランジバックが同じなら、フイルム/センサー面の後ろに回路を組み込まなければならないデジカメの方が厚くなるのは当然なのですが、それにしても厚い。
技術革新またはデザイン革新で薄くなってくれることを切に願います。
液晶モニタ外してもいいから!EOS 5D III等でファインダーに測距点等をスーパーインポーズしているインテリジェントビューファインダーが進化して、OVFでありながらファインダーでカラー写真を確認できる!なんて日もいつかは来ると思います。EVFがOVF並の品質・速度を持つのと、どちらが早いでしょうか?これができれば、背面モニタ不要です。
欲しい。たぶん使わないけど。
このF-1、今でも中古カメラ店に豊富に出回っています。品質の良い物は実に少ないですが。薄膜チタンフォーカルプレーンなので、傷がついていたらオシャカ。New F-1はもう少し玉数が多いようです。あらためて入手して愛でるならNew F-1でしょうか。
F時代には廉価版のFT・FTbともう一つ、シャッタースピード優先のEE機!EFがありました。こちらも何かの資料・カタログを持っていたはずなのですがまだ見つかりません。店頭で見ることもまずありません。ついに触ることもなかったので、見つけたら程度に拘わらず買いかなあ?現在のEFレンズというと、どうしてもこの機種を思い出してしまいます。
この記事は2014/12/14に公開され、129 views読まれました。