オールドレンズの王道ヤシコン・ツァイスプラナー50mm F1.4 T*とα7実使用詳細解説。

オールドレンズの王道ヤシコン・ツァイスプラナー50mm F1.4 T*とα7実使用詳細解説。

およそ1年、α7にいろいろなレンズを取り付けてきましたが、もうだいぶ前からヤシコン・Zeiss Planar 1.4/50 T*一本に絞っています。

レンズの正しい表記は「ヤシカ・コンタックスZeiss Planar 1.4/50 T*」です。文中にはヤシコン、ツァイス、プラナー、1.4/50、50mm F1.4が出てきますが、ワザと表記をブラしています。SEOとか、検索の時に拾ってもらえるかなあ?と。目くじら立てないでくださいね(^_^;

ヤシコンとは往年のカメラメーカー、ヤシカが出した独ツァイスのブランドContaxカメラ/レンズのことです。調べてみたら最初のカメラRTSは1975年発売、もう41年前ですね。さすがに最近は完動品を見ることは無くなりました。

私は1992年に出たS2に惚れ、当時はキヤノンF-1を使ってましたが、本気でシステムを乗り換えようかと悩んだものです。S2がどんなカメラかは検索してくださいね。フルマニュアルです。

まあいまさら懐古趣味でフイルムカメラを使う気は毛頭ありませんが、当時憧れたレンズは使ってみたいものです。幸いプラナー50mm F1.4はContax上位機の標準レンズ(今なら24-70mmのような)としてセットで売られていたため玉数豊富です。価格と程度の折り合いで、2万円少々で「まあまあ程度の良いタマ」を手に入れることができました。

50mmを50mmとして使いたいので選んだカメラ

となると、本体はソニーα7シリーズしか考えられませんね。

現在ヤシコンツァイスの母艦となるフルサイズデジカメは、α7かEOSに絞られるようです。これはフランジバックが十分に短く、マウントアダプターを作れることが大前提。EOSはAFに特化していると言っても良い明るいファインダーで、老眼の私にはマニュアルフォーカスでピントを合わせる自信がありません(明るいほどピントの山がつかみにくくなるから)。EVFなら拡大表示もできるため、母艦はα7シリーズに自然と決まります。

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マウントアダプタは価格と評判でKIWIにしました。他のも試しましたが、マウントアダプタの精度以前にα7(無印)のマウントがワヤ過ぎて、どれを取り付けてもガタつきます。このカメラ、純正レンズを取り付けてもガタガタします。「基準値内」と言われているそうですが、操作感は最低です。シビアなピント合わせをしている時にゼロ・コンマ何ミリでもカクッとすると、それはそれは興が削がれるものです。この対策は後述します。

α7無印にしたのはひとえに価格の安さです。どノーマルなローパスフィルター付き2400万画素センサーは十分な画質で、10万円少々(購入時)。メインマシンではないので、そんなに大金はかけられません(^_^;

深すぎる標準アイカップだけは、α7S用の物に交換しました。

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ヤシコン・ツァイスPlanar 1.4/50 T*

言わずと知れた前後対象設計のガウスタイプ標準レンズ。温かく柔らかい表現のライカレンズに比べて高コントラストでカリカリと言われたものですが、現代の基準で見るとそれほど高解像度は言えないようです。

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ツァイス自慢のT*コーティングで不要な反射を抑えます。まあ、経年変化もあるでしょうが、けっこうなハロやニジミも出ます。T*コーティングの名は今でも残っていますが、キヤノンのS.S.C.(スーパースペクトラコーティング)という名は表記されなくなって長いですね。EFレンズなってから表記を止めたんだっけかな?FDの時は、50mm F1.4はS.S.C、50mm F1.8はS.C.とランク分けされていました。

話を戻して。

絞りは6枚羽根です。F2ではかなり歪な形状で、ボケにもハッキリと写ります。

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F5.6ではカクカクとした六角形です。

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絞りとフォーカスリングの回転方向はキヤノンと同じです。

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最短撮影距離は45cm。

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絞りは一段クリックです。F1.4の次は2、次は2.8、4・・です。絞り優先AEで使う分には十分と思いますが、いかがでしょう?

前述の通り、ハロ・フレアはかなり出ます。T*コーティングの過信は禁物です。もちろん経年劣化によるものもあるかもしれませんが、フードは必須です。逆に、フードを付けると見違えるような描写をしてくれます。

中古カメラ屋さんでフードも入手できますが、純正というだけでかなり高価です。また、大きいんです、純正。ねじ込み式で逆付けもできないし、せっかくのコンパクトさがスポイルされてしまいます。そこで探してきたのがコチラ。

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確かエツミの、先端にねじ切りしてあるタイプです。1000円ぐらい。細く短く、レンズ鏡胴をそのまま延長したようなスタイルになります。フィルターが取り付けられるので、もちろんキャップも付けられます。

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全部を取り付けたところ。

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長く見えますが、細いのでバッグの中での収まりが良いです。おすすめです。

ガタツキ対策

α7、とても良いのですがマウントだけはボロクソに言います。

  • マウントアダプタは2万円程度の物まで試しましたが全滅。
  • 約7万円のメタボーンズですらガクガク。
  • 店頭で純正レンズを取り付けても「クンっ」という感じで回転方向にズレを感じます。

カメラの一番大事なとこだろ→ソニー?猛省を促したいところです。

でも、セロテープで相当に改善します。

まずはマウントアダプタ側。

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適当に3方向に貼り、はみ出し部分をカッターで切り落とします。コツは「重ならないように貼る」ことです。マウントアダプタの精度が低い場合、2〜3枚貼る必要があるかもしれません。「マウント部が浮くんじゃないか?」「ここから光が入らないか?」と思うかもしれませんが、そのようなことはまったくありません。

レンズとマウントアダプタの間も同様に対処します。

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これでレンズを握ってもまったくガタガタしなくなりました。

セロテープの枚数は各自調整してください。なおこの改造(?)は自己責任で行ってください。セロテープを切り落とす時にレンズやマウントアダプタに傷が付いた!とか言われても知りません。

私のところでは、これでレンズがはずれなくなった等の不具合は発生していません。

カメラの設定

マニュアルフォーカスに対応するため、一つだけ設定をしています。それは「ピント位置拡大」機能です。

ピント位置拡大をシャッターボタン脇のC1ボタンに割り振りました。

ザッとピントを合わせてからC1をダブルクリック、必要に応じて背面ダイヤルで拡大位置を調製してピントを微調整、シャッター半押しで拡大復帰しシャッターチャンスを狙います。これでかなり速写できます。

場面によってはコサイン誤差を気にせずに中央でピント拡大、カメラを振ってフレーミングしています。

さて、写りは?

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フードのおかげか、開放F1.4でもそれなりに黒が黒に写ります。フード無しで開放で撮った時は、睫毛がグレーにしかならなくて往生したものです(^_^;

絞り込めば、高解像度とはとても言えませんがカリっとした表情を見せてくれます。

色のりはいいですね。ベッタリと濃い色ではなく、よく物の表情を出してくれるように思います。

さて、女性を撮ると。

大口径とあって胸元にピント(ヲイヲイ)を合わせると顔も背景もボケボケです。これでF2。

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50mmのポートレート、大好きです。85mmよりスタイルが自然に写る気がします。背景は大ボケとはなりませんが、主題を浮き立たせる効果は十分です。

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補助光無しです。店内照明が漏れているところを選んで撮影しました。α7のセンサーの良さと、プラナーの色のりの良さが十分に分かると思います。

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こちらは絞り形状による困った例です。

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背景はなるべくボカしたい・ピント位置はキリっと締めたいと、F2を選択しました。

ところが上で示したF2時の妙な絞り形状の影響でしょうか?背景がうるさいことになってしまいました。

合焦部分の描写・コントラストの高さとボケの大きさはF2がベストなのですが、絞り形状がなあ〜という悩みです。

α7+ヤシコン・プラナー1.4/50は実用か?

実用です!

MFは、単に慣れで解決します。

ズームレンズには望むべくもない大口径、コンパクト、軽い、(中古なので)安い、フォーカスリングが気持ちいい。

高コントラストで見た目の解像感は高いが優しい描写。

F1.4開放での描写がもう少しキリッとしていれば100点ですが、70点ぐらいはあげられる組み合わせだと思います。

他の候補は?

軽くコンパクトで明るい50mmに絞ると、それほど候補はありません。高性能で重いレンズはたくさん増えているのですけれどねえ。

以前はコシナ・ツァイスマクロプラナー50mm F2が最高と思っていましたが、Milvusになってとんでもなく大きくなってしまいました。レンズ構成図を見ると「なんでこの小さなレンズに何倍もある鏡胴なの?」とため息をついてしまいます。F2のハーフマクロ、万能じゃないですか?!

シグマ50mm F1.4 Artは、重ささえ我慢すれば価格と性能のバランスがピカイチです。こいつをあえてマニュアルフォーカスで使う。最短撮影距離40cmというのも、地味にポイント高いです。うーん、しかしでかすぎるwマウントアダプタ込みだととんでもない望遠レンズに見えます。

その他のオールドレンズ、程度の良い&昔好きだったレンズならどれも良いでしょう。少しでも安い物!ではなく、多少高くても程度の良い物を良い店で買うことをお勧めします。それでも新品に比べれば安いですから。その中では、オリンパスの50mm F2マクロは使ってみたいレンズ筆頭です。5万円超と、中古レンズとしてはお高めなので手を出しかねています。

Mマウントのレンズも魅力なのですが、いかんせん最短撮影距離が遠いです。ツァイスプラナー2/50ZMなど安くて良いのですが、70cmです。

ソニー純正で一番軽く安いのはFE50mm F1.8です。これは操作感が最低(T_T。今更「ジーコ」レンズは無いだろう?と。描写については未検証です。

最近出たばかりのFE50mm F2.8マクロ。F2.8と暗いですが、マクロは魅力です。価格も5万円程度。ちょっと大きいですが、236gと軽量です。試してみようかなあ?

描写・操作感・明るさ・大きさ・重さとも満点なのは、カールツァイスLoxia2/50でしょうか。重量320g。オールドレンズと違ってExif記録にも対応。マニュアルフォーカスの操作感も快適です。F1.4ほど盛大なボケとはいきませんが、バストアップ以上に寄ってポートレートを撮るなら、十分に背景をボカしてくれます。開放から安心して使えるのも良。ヤシコンとあまり変わらないサイズ感ですが、こちらはマウントアダプタ不要なので、トータルでかなり小さくなります。欲しいけど、8万円超(^_^;メイン機材ではないEマウントにそれだけつぎ込むには勇気がいります。

 

この記事は2016/09/25に公開され、143 views読まれました。

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