キヤノンEOS R6 Mark IIとEOS R10比較レビュー、実に快適な棲み分けが実現。
2023年04月09日
悩み抜いたEOS R50とEOS R10。
- RF-S18-150mmを使うとなると、購入価格はほぼ同等。
- バッグに入れた感覚は変わらず。いずれもEOS R6 Mark IIと比べて大幅に軽量・コンパクト。
- バッテリーは同じLP-E17。
- 大型グリップのR10は、やはり持ちやすい。
- R10にしか無いサブ電子ダイヤルは便利。
- いちいちモニタを見て設定を変更しないといけないR50よりも、ボタン一発のR10は便利。
- 実質的に外付けストロボが使えるのはR10のみ。
ということで、EOS R10にお越しいただくことになりました。
すると先輩機EOS R6 Mark IIとの棲み分けが大事になります。
携帯性。
EOS R6 Mark IIに加えてEOS R10を導入する最大の目的は携帯性です。
自分も参加するセッションやパーティ、旅行など、EOS R6 Mark IIを持ち歩くのは少々負担に思う時があります。特に便利ズームRF24-240mm F4-6.3 IS USMを付けて行くとなると670g+750gで1420gにもなります。
対してEOS R10+RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STMならば429g+370gで799gです。体感的には半分以下にも感じます。
一番よく使うダコタのブラックレーベル リュック ノマド 2WAY メンズ 1620682にはEOS R6 Mark IIも入りますが、かなりバッグがふくらんで不格好です。
EOS R10はこんな感じ。楽々放り込めます。
EOS R6 Mark IIはこんな感じ。他の荷物も入りますが、背負っていてかなり腰に来ます。
バッグは実に可愛いです。
ところでこのバッグ、山羊皮で実に軽量&柔らかく、使い勝手抜群です。質感も良く、ジャケパンスタイルの時には特に愛用しています。茶は個体ごとに微妙な質感の差があるので、店頭で複数を比べると良いでしょう。黒ならば個体差は小さく通販でも問題ありません。
もう一つ愛用しているコーチの小さなショルダーバッグ。R10ならば楽々入ってしまいます。
現行型で一番近いのはコレかな?
EOS R10を入れても余裕。なんならレンズもう一本とミニ三脚まで入ります。
EOS R6 Mark IIはこちら。他に必要な物(財布やイヤホンやバッテリーや)が入らない・・というより、カメラ本体の納まりが悪いです。
絶対画質を追求するなら携帯性など考慮せずにEOS R6 Mark II一択ですが「ちょっと頑張って撮影もするけど、主目的は別よ」という時には持ち運びやすいEOS R10がとても助かります。
レンズ。
EOS R6 Mark IIにRF50mm F1.8 STMやRF16mm F2.8 STM、さらに近いうちに出るであろう40mm程度のパンケーキレンズを付けて行くだけで用が足りるならば、あえてEOS R10を追加する必要はありませんね。
ところが「なんとなく撮るよ」という時ほど、便利ズームが欲しくなるのです。そして便利ズームは大きく重い・・というのを覆してくれるのがRF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STMです。広角端がフルサイズ換算28.8mmと少々物足りませんが、望遠端は240mmにもなります。
足りない広角側は、現状ではEF-S10-18mm F4.5-5.6 IS STMにマウントアダプターを付けて埋められます。コレ、実に軽量でそこそこ良い写りをしてくれます。
今のところRFマウントでAPS-C用に魅力的な単焦点は見当たりません。フルサイズ換算で標準レンズ付近のRF35mm F1.8 MACRO IS STMも、換算39mmでスナップに最適なRF24mm F1.8 MACRO IS STMも、換算80mmの撒き餌レンズRF50mm F1.8 STMも、EOS R10ボディには大きすぎます。
RF16mm F2.8 STMはフルサイズ換算24mm。これならスナップセットとしてアリかも。
RF50mm F1.8 STM。サイズ的にはアリですが、80mm一本でどうしろと?
RF85mm F2 IS マクロ STM。換算136mmの中望遠でポートレート用にはアリですが、あえて選ぶ意味は薄いですね。
RF24-240mm F4-6.3 IS USMは38.4mm〜384mmの望遠寄りズームになります。それよりは、安い70-300mmズームを買って112〜480mmズームとした方が幸せになれます。
RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM+EF-S10-18mm F4.5-5.6 IS STM+マウントアダプターが現状の最適解でしょう。さらに近いうちにEF-S24mm F2.8 STMまたはEF-M22mm F2 STMのRFマウント版が出ることを祈ります。
明るいレンズでボケを活かした撮影もできるフルシステムを組むには、EOS R10は役者不足でしょう。
AF。
ここまで上位機と同等のAF機能・性能を積んできたエントリーモデル(キヤノンではミドルレンジに分類されていますが)は初めてではないでしょうか?
機能面でEOS R6 Mark IIとの差は
- 「検出する被写体」に「自動」が無い。
- 「AIフォーカスAF」が無い。
- 測距輝度範囲がEOS R6 Mark IIはEV-6.5~21、R10は-4〜20。
- 測距点が少ない。しかしそもそもキヤノンのDPAFは測距点が極端に多いので、大きな問題とは言えない。
- 「AFエリアダイレクト選択」機能が無い。
AF速度には体感的な差は感じられません。また「手前の被写体に引っ張られる」「後ろに抜ける」といった強いクセも見られません。一眼レフ時代は機能が極端に少なかったり測距点が少ないなど格差がありましたが、R10のAFは見事としか言いようがありません。トラッキングも十分に機能します。
動物瞳AFなど、旧来の入門機とは一線を画す性能です。
操作性。
上面右側のボタン・ダイヤルにほぼ差異が無いため、持ち替えても違和感がありません。特にサブダイヤルがあるのが嬉しいですね。もちろん、サブダイヤルには露出補正を割り当てます。
背面ダイヤルは、替わりに十字キーとなっています。高級感はありませんが、ダイヤルカスタマイズによっては実使用時にあまり困りません。強く握った際に間違って押してしまうことがあるのが難点と言えば難点です。
SDカードスロットは電池室と同一・・というのが低価格機でよく指摘されますが、SDカードがいっぱいになるよりも先にバッテリーが切れます!「三脚に付けた状態でカード交換できない」と言われますが、高級機でもバッテリー交換はできません!RAWファイルの場合、一枚約25MBとして128GBのSDカードならば5000枚撮れます。バッテリーが先に無くなります!Jpegならばもう何枚撮れるのやら?
電源スイッチは右側になりました。しかしキヤノン機の電源スイッチは位置がコロコロと変わりますね。EOS R6 Mark IIとはオンにする方向が逆ですが、そもそも位置が違うので操作に違和感は感じません。ロックスイッチは電源スイッチから独立しています。
マルチコントローラーの押し具合(AFポイント中央復帰)は、EOS R6 Mark IIと比べると劣ります。EOS R5と同様に、中央復帰のはずが左右にブレたりします。また感触も多少チープに感じます。
視度調整はダイヤル式ではなくスライド式です。これの操作性は最悪です。使用感に直結する部分なのでケチって欲しくなかったなあ。
バッテー持続時間。
「ファインダー[省電力優先]設定時約260枚」とありますが、実際には倍以上撮れたりします。
これまでLP-E17バッテリーのモデルを使用してきた経験からして
- 500枚はイケる。
- 撮影枚数よりも「電源オン時間」の方が重要。
- こまめにメインスイッチを切るとバッテリーが長持ちする。
- モニタでの確認は最低限に。
- メニューを開く回数を減らせるように「マイメニュー」を活用する。
- 「プリAF」はしない。
- 純正バッテリーと互換品の差は想像以上に大きい。
- 予備バッテリーは2個(計3個)必要。
ファインダー。
0.39型約236万ドット倍率約0.95倍です。フルサイズに換算すると約0.6倍です。
対するEOS R6 Mark IIはp0.5型約369万ドット倍率約0.76倍。
ドット数については有意な差を感じませんが、ファインダー倍率はとても違って見えます。一眼レフのペンタプリズムとペンタダハミラーの違いのような・・(かえって分かりにくいですね)。
被写体をじっくり観察するには少々厳しいと言わざるを得ないので、不満な場合はR7(フルサイズ換算約0.72倍)以上を検討した方が良いでしょう。
画質。
フルサイズ機と比べるとさすがにダイナミックレンジは狭く思いますが、穏やかな風景では全く問題ないでしょう。
高周波成分の多い、例えば緑の生い茂った写真は、EOS R6 Mark II(ましてやEOS R5)に比べると苦手な感じがします。また赤の飽和にも弱いようです。昔からキヤノン機はコンデジを含めて「赤」に弱い印象があるのですが、感じているのはぽちろぐだけでしょうか?
逆に驚いたのは、室内の撮影です。
セッション風景ですが、けして良いとはいえない照明でISO爆上げでも確実に撮れます。レンズもRF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STMですから高ISOでカバーするしかないですものね。
撮影中にチェックして「あまりに汚かったらストロボを使おう」と用意して行ったのですが、430EXの出番はありませんでした。
ボケ。
RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STMは広角端でメチャメチャ寄れますので、そこそこのボケはできます。
焦点距離×画角×ボケ量で考えると、画角が80mm相当になる50mmレンズを使ってもボケ量は50mmのソレです。ボケに期待するなら素直にフルサイズ機にするのが良いでしょう。
EOS R6 Mark IIの勝ち。
- フルサイズゆえに高画質。
- フルサイズゆえに同等の画角のレンズを使う場合にボケ量が大きい。
- ファインダーが大きく隅々までじっくり観察できる。
- ボディ内手ぶれ補正あり。
- 大容量バッテリーで長持ち(ただし高価で重い)。
- 質感が高い(ただしEOS R5と比べるとプラスチッキー)。
- ボタンカスタマイズの自由度が高い。
- 被写体認識「自動」が使える。
- シャッター音・シャッターフィーリングが良い。
- より暗所に強い。
- オールドレンズを本来の画角で使える。
ちなみにEF-Sレンズと違ってRF-Sレンズはフルサイズ機に取り付けできます。ただし自動クロップされるので画角は18-150mmではなく28.8-240mm相当になります。ドット数は9375000=約1000万画素となります。
EOS R10の勝ち。
- 絶対的な軽量・コンパクト。
- 同等の画角のレンズを使う場合、レンズもコンパクト。
- バッテリーが安価(ただし容量は小さい)。
- システム全体が安価に揃う。
ところでスピードライト。
EOS R10、R6 Mark IIとも変わりませんが、TTLオートで使える機種は限定されます。サイズがちょうど良い270EXが手元にあったので試してみましたが、常にフル発光になってしまいます。さらに古い430EXは正常に動作しました。
GODOX V1は問題なく動作します。
現行型ならEL-100が良いでしょう。いや、他に選択肢無し。マルチアクセサリーシューに対応した小型スピードライトは無いし。
用途によってはメイン機になり得るEOS R10。
ライブ撮影、スナップといった「微細なフレーミング以上にタイミングが重要」と言える目的なら、軽量・安価なEOS R10はメイン機たりえます。
ファインダーを覗いてじっくりとフレーミングするにはファインダー倍率が低すぎますが、「パッと見てパッと撮る」そして「ピントがしっかりと合っている」「被写体をつかまえて放さないAF」という面ではEOS R10は上級機にヒケをとっていません。
- お散歩・旅行やズームメインのライブ撮影等にはEOS R10。
- 絶対画質とボケ量が要求される撮影には単焦点レンズとEOS R6 Mark II。EOS R5ならなお良し。
という使い分けが幸せになれそうです。
それもこれも、EOS R10が機能・性能面で上位機と遜色なくなったからですね。
この記事は2023/04/09に公開され、1,340 views読まれました。