下は8,800円、上は106,200円、キヤノンEOS RFマウントの40〜55mm標準レンズ撮り比べ。
2024年03月04日
標準レンズが好きです。具合の良い標準レンズが見つかると、ずっとそれ一本で過ごしてしまいます。
キヤノンEOS Rシリーズ用RFマウントレンズが揃ってきましたので、力比べをしてみようと思います。
参加レンズは以下の通りです。AF・MF取り混ぜています。
EOS R6 Mark II+
- Voigtlander NOKTON 40mm F1.2 Aspherical(40mm相当)
- RF50mm F1.8 STM(50mm相当)
- TTArtisan 50mm F2(50mm相当)
- INDUSTAR 61L/Z-MC 50mm/F2.8(55mm相当)
EOS R100+
- RF28mm F2.8 STM(45mm相当)
- TTArtisan 25mm F2.0 APS-C(40mm相当)
- GIZMON Utulens(50mm相当)
作例はRAWで撮影。色温度のみ統一してストレート現像しました。
EOS R6 Mark II+RF50mm F1.8 STM(50mm相当)
F1.8。
F2.0
F2.8。
実に安定の写りです。F1.8開放からまつげまでシャープに写ります。
ショートバックフォーカス対応のためEFから光学系は変わっているのですが、ボケに関しては悪い意味で引き継いでいますね。二線ボケ等が少々気になります。
色味(ホワイトバランス/色温度)はバッチリです。30cmまで寄れるのも大きなポイントです。
EOS R6 Mark II+Voigtlander NOKTON 40mm F1.2 Aspherical(40mm相当)
F1.2。
F2.0。
F2.8。
Voigtlander NOKTON 40mm F1.2 Asphericalの魅力感は立体感ですね。向かって左側の髪の毛の質感など、他のレンズとは一線を画しています。
ボケはなめらか。白飛びせず、黒つぶれせず、ネットリとしたグラデーションがたまりません。
EOS R6 Mark II+TTArtisan 50mm F2(50mm相当)
F2.0。
F2.8。
最安クラスの一本、TTArtisan 50mm F2です。
Voigtlander NOKTON 40mm F1.2 Asphericalとは10mmの差ですが、同じところから撮ってもけっこう写る範囲が違います。
ボケは、被写体の芯(背景の枯れ枝の中心)を残して周りが盛大にボケるという、珍しいボケ方ですが嫌みはありません。
解像感はありますが髪の毛の質感は固い感じです。全体に固い印象なのは、コントラストが高めのせいかもしれません。
EOS R6 Mark II+INDUSTAR 61L/Z-MC 50mm/F2.8(55mm相当)
F2.8。
開放F2.8なので1枚だけです。ここでは唯一のリアル・オールドレンズです。
さすがに解像感は低めですが質感はよく出ています。立体感もありますね。暗部はバッサリと切り捨てて、明部のグラデーション表現に全振りという印象です。
50mmという名前ですが実際には55mmくらいなのでパーティスナップには使いにくいのですが、色・質感・最短撮影距離・操作感の全てが◎です。
EOS R100+RF28mm F2.8 STM(45mm相当)
F2.8。
最新レンズ。ブラスチックモールドの「カモメレンズ」という特殊な形状のレンズを使用しています。
今となっては「比較的安め」と言われる4万円台のパンケーキレンズ。APS-Cカメラに取り付けると45mm相当の画角になり、フルサイズでもAPS-Cでも使いやすいレンズです。
驚くほどにシャープです。
ボケは量は多くありませんが、RF50mm F1.8 STMよりも穏やかで暴れません。まあ、暗いし、実焦点距離は広角域の28mmなので当然とも言えますが。ボケが小さくても立体感はあります。TTArtisan 50mm F2よりも立体感を感じます。
将来はフルサイズに、今はAPS-Cで使うなら一押しのレンズですね。
EOS R100+TTArtisan 25mm F2.0 APS-C(40mm相当)
F2.0。
F2.8。
やはりTTArtisan 50mm F2と同傾向の描写を感じるTTArtisan 25mm F2です。換算40mm相当の画角になります。
ボケ量は稼げませんが穏やかで見やすいボケです。
コントラストはキツめで、全体に固い印象はありますがそこそこの立体感を感じます。暗部は捨てて明部の描写に振ってるのかな?
髪の毛がベタっとして見えるのは手振れの影響もあるかもしれません。EOS R100はボディ内手振れ補正が無いので、今回のレンズは全て手振れとの戦いです。
EOS R100+GIZMON Utulens(50mm相当)
F16?
32mm F16パンフォーカスが売りのGIZMON Utulensで目測1mですが、ピントが合いませんでした。
人物撮影は膝から上が写るぐらいまで引かないと合焦しませんね。
ハマると面白いレンズなので、もう少し研究してみます。
40mm対決
Voigtlander NOKTON 40mm F1.2 Aspherical F2.0。
TTArtisan 25mm F2.0 APS-C F2.0。
ボケ量は確かに違うのですが、TTArtisan 25mm F2.0 APS-Cが健闘していませんか?!
色温度は揃えてあるのに、Voigtlander NOKTON 40mm F1.2 Asphericalの方がかなり黄色いです。あと、周辺光量落ちがすごいですね。
総評
絶対画質
Voigtlander NOKTON 40mm F1.2 Asphericalの圧勝。分かっちゃいたけど、勝負になりませんでした。
重いし大きいし手振れ補正は付いていないし、マニュアルフォーカスで慣れが必要ですが、上がった写真の美しさ・楽しさはダントツです。
立体感
Voigtlander NOKTON 40mm F1.2 Asphericalの勝ちなのですが、INDUSTAR 61L/Z-MC 50mm/F2.8がメチャクチャ健闘しています。デリケートvs骨太の正反対な描写なのに、どちらも立体感抜群です。
気軽さと使い勝手と画質
TTArtisan 25mm F2.0 APS-Cが僅差で勝ちです。これはボディがEOS R100であることも大いに関係しています。
EOS R100はタッチパネルが無いため、AFポイントの移動が実に不便です。AFレンズを使う場合、
- 追尾顔優先全面AFを使う。
- 1点AF(中央)で、合焦→フレーミングする。
の二択になります(異論は認めます)。AFポイントの移動ができないわけではないのですが、操作が煩雑で実用的じゃないのです。つまり「運任せ」か「手間をかけすぎる」かを選ばなきゃいけません。
それならいっそマニュアルフォーカスで小さなレンズの方がいいじゃん!明るいし案外とよく写るし、安いし。とういうことです。
25cmまで寄れるので、フルサイズ換算の撮影倍率はVoigtlander NOKTON 40mm F1.2 Asphericalを超えます。
レンズ買い足しなら
RF28mm F2.8 STM一択です。
一本持っておいて絶対に損はないレンズです。ただし「面白いか?」と言われるとなんとも…。優等生だし、特にボケを楽しめるわけではないのですが、使い勝手は抜群です。パンケーキ大好き!
「撮影を楽しみたい&良い画質で」なら
この中ではEOS R6 Mark II+Voigtlander NOKTON 40mm F1.2 Asphericalに決まりです。予算は40万円台。
ハッキリ言ってスペック過剰です。予算も大きく喰ってしまいます。もっとシンプルな「マニュアルレンズで静止画を撮るのに特化したカメラ」があればいいのに。
「これから本格的にカメラを学びたい」なら
EOS R100+TTArtisan 25mm F2.0 APS-Cがお勧めです。予算は10万円以内!
- 換算40mm相当の画角で使いやすい。
- F2なので、頑張ればボケも楽しめる。
- レンズにもボディにも手振れ補正が無いので、正しいカメラホールディングをせざるを得なくなる。
- マニュアルフォーカスなので、ピント位置による画像の変化を知ることが(強制的に)できる。
- 寄れる。スナップもマクロも楽しめる。
- 軽い・小さい・毎日持ち歩ける。
- AvまたはMモードしか使えないので、絞り・シャッタースピード・ISOの関係を勝手に覚えられる。
- ボディに「写真を撮る」以外の機能がほとんど無く、使い方がシンプル。
TTArtisan 25mm F2.0 APS-Cメインで考えるなら、ファインダー倍率の高いニコンZ 50や富士フイルムXもアリです。中でもZ 50/Z fcは価格が安くお勧めできます。EVFの表示倍率が大きいため撮影範囲が見やすく、ピントも合わせやすいです。
この記事は2024/03/04に公開され2024/03/07に更新、77 views読まれました。