超・初心者向けカメラ講座。
2024年03月07日
「写真が上手くなりたいの!」とは、よく受ける相談です。それで「カメラの使い方(特に設定)」を教えてくれと。
とってもかんたんに対応する時は以下のように話します。
- Av(絞り優先)モードにする。
- 絞り値を一番小さな値にする(絞りを開ける)。
- 被写体と背景の距離をとる。
- ぶれないようにシャッターボタンを押しっぱなしにして、ゆっくりと離す。
しかしたまに「もっと知りたい!」と食いついてくる人も。
- どんな写真がキレイなのか?ボケか?シャープなのか?色か?十人十色ですね。
- なぜそうなるのか知りたい!
- カメラの設定の意味を知りたい。
- レンズが欲しい。
こうなると立ち話では説明も難しいので、まとめておきます。
ここではいわゆる(スマホが勝手に加工してボカしてくれるような)コンピューティショナルフォトは除き、光学的なものに絞ります。
撮影パターン
背景を思い切りボカしたい
一番多いのが「背景をボカしたい」です。
- 絞りを開ける。
- 望遠レンズを使う。
- 近づいて撮る。
- 被写体と背景の距離を離す。
が関係します。背景が溶けるほどボカすとなるとカメラやレンズの選択も考えなくてはなりません。
- 関連項目
- 絞り
状況説明ができる程度に背景をボカしたい
「どこにいるか」「誰と一緒か」等、状況を見せながらも主要被写体を浮かび上がらせるパターンです。
- 少し離れて撮影するので背景がボケにくい。
- レンズによって、適度にボケる絞り値が違う。
幸いミラーレスカメラではボケ具合の変化を撮影前に確認できるので、絞り値を変えながらたくさん撮ってみましょう。
撮影する角度・高さ・向きも重要な要素です。ここでは手前の羊にのみ光が当たっているので、ますます主要被写体が際立っています。
- 関連項目
- 絞り
全部にピントを合わせたい
旅行などで景色を撮る時、後で家族に説明したい時。画面の端から端までピントを合わせたいということはよくあるものです。
- 広角レンズを使い絞り値を大きくする(絞り込む)。
- 被写体からある程度離れて撮影する。
これだけではノッペリした写真になりがちなので、低いところからカメラをかまえたり、大きく斜めに振って遠近感をつけると良いでしょう。
- 関連項目
- 絞り
集合写真で全員の顔をしっかり見せたい
ここまで大人数の集合写真を撮る機会はなかなか無いと思いますが(笑)。カメラと平行に横並びなら、かんたんに全部にピントは合います。しかし奥行きがあると困りますね。
- 広角レンズを使って絞り値を大きくする(絞り込む)。
- 高いところから撮影して、奥行きに対して少しでも平行に近づける。
要は被写体を「面」としてとらえて、カメラ(センサー)と平行にすれば良いわけです。大きな脚立を立てたり、極端な話、ドローンで撮れば良いのですね。
- 関連項目
- 絞り
夜景を撮りたい
これは難易度がメチャクチャ高いです!夜景というからには景色なので、ある程度絞り込んで全体にピントを合わせたいです。絞ると相対的にシャッタースピードが遅くなります。風景写真には細密さが要求されるので、ISO感度も高くできません。ISOを高くするとノイズが多くなって画質が低刈るするからです。
- 距離によるが、F5.6程度には絞りたい。
- たいていのカメラは、ISOオートといって暗いところでは勝手にISO感度が上がるようになっている。それをISO400〜800程度に固定する。ISO値はカメラによって画質限界が違うので最適値は無い。
- 必然的にシャッタースピードは遅くなる。
- 手持ち撮影は難しいので三脚を使う。
機材にもよりますが、持ち歩ける三脚を一つ持っておきましょう。小型で頑丈な三脚は設置場所に困らず持ち運びも楽なので重宝します。ただし三脚使用禁止の場所も多いので指示に従いましょう。
被写体を止めたい
ジャンプなど、速く動く被写体を止めたいことってありますね。これは単純です。
- シャッタースピードを速く設定する。
だいたい1/500ぐらいになると、人間の動きは止まります。
ただしゴルフスイングなどは、人にもよりますが1/2000秒以上の高速シャッターが必要です。
- 関連項目
- シャッタースピード
躍動感を出したい
止まっている写真は「すごい!」のですが、躍動感や臨場感は動体ブレ/被写体ブレがあった方がよく出ます。ゆっくりと動いている物は止まり、激しく動かしている腕はブレているような状態ですね。
- 1/15〜1/60秒程度の、被写体に合ったシャッタースピードを選択する。
こればかりは撮ってみないと分かりません。乗り物等、ある程度一定速度で走るものは最適解があるのですが、ダンサーのように緩急がある場合は「その場の機転」でシャッタースピードを調整します。
暗いところでライブ撮影
最も過酷なパターンです。
- 暗いのでなるべく絞りを開けたい(光量を多くしたい)が、被写界深度が浅くなるのでピントが合いにくい。
- シャッタースピードを速くしたいが、暗いので難しい。
- 絞りたい&シャッタースピードを速くしたいので、感度が高くなりがち。感度が高いとノイズが出たりして画質が悪くなりがち。
- 極端なミックス光で、変な色になりやすい。
- プレイヤーもダンサーも激しく動き回るので、動体ブレが起きやすい。
- 手振れしやすい。
アチラを立てればコチラが立たずとはこのことですね。
- なるべく明るい(しぼり値が小さい)レンズを使う。
- オートフォーカスが速く正確なカメラを使い、なるべく絞りを開けてシャッタースピードが速くするようにする。
- 高いISO感度でも画質が良いカメラを使う。
- ギリギリ許容できる画質のISO感度を事前に確認しておく。
- 手振れ補正がついているカメラとレンズを使う。
- AWB(オートホワイトバランス)機能を確認しておく。またはホワイトバランス/色温度を自分で設定する。またはホワイトバランス/色温度を後で設定するためにRAWで撮影する。
- 事前にバンドと打ち合わせ、動きを学習しておく。
ライブ撮影ではゆっくりとレンズ交換する暇もないので、ズームレンズのお世話になります。明るいズームレンズはとても高価です。さらに高感度画質に優れオートフォーカスが速く正確なカメラも高価だし、満足のいく画質とは限りません。会場の照明によっても状況は変わります。
三脚を使って手振れを防いでも、動体ブレからは逃れられません。
やはりライブの進行を事前に把握しておくことが重要ですね。
明るいところでポートレイト
明るい場所でポートレイト、良いことばかりですね!
ISO感度は低く良い画質で撮れます。シャッタースピードも速くできます。オートフォーカスも快適に動作します。絞り値も選び放題…とはいかないのです。
とても明るい場所で絞りを開放にすると、低いISO感度・高いシャッタースピードでも露出オーバーになることがあります。カメラによっては超・超高速シャッターや超低ISO感度が使えることもありますが、普通は無理です。
このような場合「光量を減らしてしまおう!」ということになります。NDフィルターという、色づけも特殊効果も無く光量だけを減らすフィルターがあります。ND2(1/2)〜ND16(1/16)くらいが一般的です。
また直射日光下では強い影が出ることでキツい印象になります。そんな時は光を反射して影を和らげるレフ板を使ったり、スピードライトを使用して補助光を当てたりします。
逆光撮影
逆光は勝利!(出典:究極超人あ〜る/光画部先輩たわばの言)
被写体のフチに光がまとわりついて幻想的ですよね。
ただしそのままでは顔が暗くなってしまうので露出補正をかけたりします。
直射日光下でのポートレイトと同様に、レフ板やスピードライトで前面から補助光を当てることで被写体をちょうど良く&背景も明るすぎないように調整することもあります。しかし補助光を強くしすぎると不自然になるので要注意です。
- 関連項目
- 露出補正
ペットを撮りたい
勝手気ままに動いてくれる犬や猫。鳥もいますね!いつも持ち歩いているスマホで撮影という方が多いのではないでしょうか?
しかしカメラでちゃんと撮るとかわいさ倍増です。精細感もボケも何もかもが違うのです。
ポイントは
- 起動が素早いこと。
- できれば動物AFに対応していること。マニュアルフォーカスでも、慣れれば上の写真のように撮ることもできます。
- ペットが怖がらないよう、大きすぎないこと。
- いつも持ち歩けること。
- どうしてもノーファインダーになりがちなので、背面モニタが見やすいこと。
今までぽちろぐが使った中では、APS-Cの小型ミラーレスに35mm相当の単焦点レンズを付けた物が良かったです。
大きく撮りたい
きれいな花を見たら大きく撮りたいものです。大きく撮ると、相対的に背景との距離差が大きくなるので背景がきれいにボケます。幻想的ですね。
最近は最短撮影距離が短くなっているので、この程度はたいていのレンズで撮影可能です。
もっと極端に大きくしたい場合はマクロレンズを使います。たいてい被写体との距離を確保するために「ちょっと望遠」が多いです。
- 関連項目
- レンズ
写真の露出とカメラの基礎の話
フイルムカメラが流行っています。エモいんですって。昔と違ってフイルムは高いし現像代はかかるし、デジタルの方が手軽に持ち歩けて良いと思うんですけどねえ?
フイルムカメラもデジタルカメラも「光を別の何かに変えて一瞬を記録する」という意味では同じです。
デジタルカメラの場合、光を電荷というカタチでセンサーに貯め込み、モニタに出力できます。出力するまでにゴニョゴニョといろいろな処理をしているのですが、そこは撮影とは関係ないので省きます。光の量は量れても全ての色を感知することはできないので、RGBの三原色に分けて貯め込んだり(記録したり)もします。
光の量は絞り・シャッタースピード・感度の3つで制御します。
絞り
一度に受け入れる光の量を調整するのが「絞り」の役目です。レンズに内蔵されています。
カメラのレンズをのぞき込むと、007のオープニングに出てくるグルグルがあります。アレです。グルグルが全開の状態を「開放」、真ん中の穴が一番小さい状態を「最小絞り」といいます。
- 開放→F1.0〜F4程度。
- 最小絞り→F16〜F45程度。
開放の方が開き方が大きいのに、数字は小さい!というので分かりにくいポイントです。焦点距離fを有効口径(直径)で割った値なのでf/1.4などと表記することもあります。数字が小さいほど一度に取り込める光の量が多い=明るいレンズとして覚えてください。
1.4・2.0・2.8・4.0…と、√2倍ごとに「1段」変化すると言います。これは光の量がF値√2倍ごとに1/2になるからです。F値は直径ベース、光の量は面積ベースなので納得ですね。
- 絞り値が小さい(F1.4とか)→明るい→ボケが大きい。
- 絞り値が大きい(F8とか)→暗い→ピントの合う範囲が広くなる。
絞り込むことでピントの合う範囲が広く(深く)なるのを被写界深度と呼びます。「許容錯乱円が云々…」という難しい話があるのですが「絞りを開けた方がボケる」と覚えれば十分です。
絞り値を決めて他の値を変化させる自動露出方式を「絞り優先AE(Av)」と呼びます。
シャッタースピード
シャッターはセンサー/フイルムの前にあって光を遮っています。これが一瞬開くことでセンサーに光が当たります。その「光が一瞬当たる時間」のことをシャッタースピードと言います。
1・1/2・1/4・1/8・1/15・1/30・1/60・1/125・1/250・1/500…と速く(短く)なっていきます。単位は秒です。こちらは単純に1/2倍なので分かりやすいですね。昔は1/1000秒といえば高速シャッターでしたが、今は1/16万秒まで可能なカメラもあります。ミルククラウンとかもカメラだけで撮れるかも?
- シャッタースピードを速く(短く)すると、動体を止めるだけでなく手振れも防げます。
- 逆に遅く(長く)すると、流水や装甲車のヘッドライトの軌跡が流れてきれいです。
シャッタースピードを決めて他の値を変化させる自動露出方式を「シャッタースピード優先AE(Tv)」と呼びます。
ISO感度
昔はASA感度と呼びました。管理団体が変わって名称は変わりましたが、数値は同じです。
基準値があって、その何倍敏感に光を感じるか?という相対値です。
絞り値(F)×シャッタースピード(秒)×ISO感度=一定(露光量)
つまり同じ物を撮る場合でも、シャッタースピードを遅くして絞り込んだり、開放でシャッタースピードを速くしたりできるのです。
動体を撮る時は動きが、ポートレイト等を撮る時はボケが、撮り方によって変化するので面白いです。
露出補正
まるで失敗して黒焦げになったように見えますが、芽キャベツの素揚げです。
これは背景が白っぽいため、AEがそちらに引っ張られて主要被写体が暗くなってしまった例です。逆光撮影と同じですね。
そんな時は露出補正の出番です。ちゃんと焦げてませんよ。藻塩をかけていただきます。
露出補正のやり方はカメラによってだいぶ違うので、いざという時に対応できるように確認しておきましょう。
ホワイトバランス/色温度
「電灯色」「白昼色」、電球を買う際にこのような表記を見たことはありませんか?光にも色があって、例えば夕暮れは全てが赤く見えます。最近は減りましたが、蛍光灯下では緑っぽく見えます。
上の写真はカメラ任せで撮ったままです。赤っぽい電灯の色で良い雰囲気ですね。しかし手前の張り紙やSMIRNOFFのロゴまで黄色っぽくなっています。これを調整するのがホワイトバランス/色温度です。
カメラで設定できますが、RAW形式でデータを現像ソフト(PhotoshopやLightroom)で後から調整することもできます。
上の2枚は「どちらが良い」とも言いがたいのですが、テーブルフォトなどはホワイトバランス/色温度調整がとても重要です。
1番目が調整前、2番目が「白い部分を白に設定した」画像です。シビアな撮影の場合は以下のような対処をします。
- カラーメーターで計測する。
- グレーカードを撮影し、そこからホワイトバランス調整する。
「ブルームーン」と言われる満月があったので、色温度を調整してみました。このようなこともできます。
JPEGとRAW
JPEG(ジェイペグ)はネットでも一番使われている画像のファイル形式です。カメラの設定を変更しなければ、だいたいこの形式で記録されます。特徴は
- 最も普及している。
- フルカラーを使える。
- 加工が楽。
- 圧縮率を変更して同じサイズでもファイル容量を小さくできる。
- 不可逆圧縮である。
最後の「不可逆圧縮」が弱点で、明るさを変更したりホワイトバランス/色温度を調整したりするのが苦手です。一気に画質が低下してしまいます。
そこで「そのままでは皆が見ることは難しいけれど、様々な調整に耐性が高いRAW(ロウ)形式」の出番です。
- RAWとは「生」の意味。センサーが捉えた情報を全部持っているデータ。
- 元のデータ量が多いので、後からの調整に強い。
- DNGという標準RAW形式もあるが、例えばキヤノンならCR3といった「独自形式」が多く汎用性に欠ける。
- データサイズ大きい。JPEGで6MBのものがRAWでは45MBぐらいになったりする。
カメラの設定で「ビビッド」「モノクロ」「ポートレートモード」といったものがありますが、これはJPEGにのみ作用します。
レンズのこと
広角・標準・望遠レンズがあります。その他、特殊なレンズもありますがここでは話を単純化します。
写せる範囲=画角
なお焦点距離は135判カメラを基準にします。135判とはフイルムのサイズのことでセンサーになってもそう呼ばれています。35mm判・フルサイズとも呼ばれます。キヤノン・ニコン・ソニー他各社のフラッグシップや中高級機はだいたいコレです。
- 広角レンズ:広い範囲を撮影できます。最も広いものは魚眼レンズで、180度写る。8〜35mm程度の焦点距離。28・35mmは準広角とも呼ばれる。撮影距離・絞り値が同じなら被写界深度は深くなる。
- 標準レンズ:目で見るのと近い範囲を撮影できる。50mmを中心に40〜60mm程度のレンズを呼ぶ。
- 望遠レンズ:遠くの物を大きく撮れる。だいたい85mm以上。300mm以上は超望遠と呼ばれる。明るい超望遠レンズは100万円以上することもままある。撮影距離・絞り値が同じなら被写界深度は浅くなる。
他にAPS-C・マイクロフォーサーズ・1インチサイズ・それ以下(少数派)、中判(さらに少数派)があります。
- APS-Cカメラの場合、レンズの表記を1.5〜1.6倍した焦点距離になる。つまりちょっと望遠になる。キヤノンEOS R50に25mmレンズを付けるとフルサイズ40mm相当の画角になる。
- マイクロフォーサーズの場合、レンズの表記を2倍した焦点距離になる。
- APS-C専用レンズをフルサイズカメラで使うと四隅が真っ暗になる。
もちろん、単焦点レンズとズームレンズがあります。今はズームレンズが主流ですね。
- 単焦点レンズ:焦点距離が決まっています。明るかったり、画質を極限まで追求していたりする。また小型化している物もある。
- ズームレンズ:超広角〜広角、広角〜中望遠、望遠で焦点距離可変のレンズ。ズームリングを回すと被写体の大きさが変化する。機構的にも光学的にも複雑で、明るさ・大きさ・画質がそれぞれトレードオフ。最近は単焦点に負けない画質の物もあるが大変高価。
レンズのスペック
さらに各レンズには次のようなスペックがあります。
- 明るさ。F値のこと。たいてい明るい(F値が小さい)レンズほど高価。
- ○群○枚構成。最近のレンズは多数のレンズを組み合わせてできている。枚数が多いほど高性能…とはいかないもので、メーカーの設計思想による。
- 最短撮影距離。センサーから何センチまで近づけるかを表す。ぽちろぐがとてもこだわっているところ。画質の確保と機構的な問題で、近づける距離には制限がある。
- 重さ・大きさ。数年前まで「明るく、解像度が高ければ大きくてもいいじゃないか!」という時期があったが、最近は「持ち歩いて使わなければ意味が無い」とほどほどの大きさのレンズが増えている。
- 防塵・防滴。
- 解像度。メーカーの仕様表には掲載されませんが「平面上の線を何本まで写し撮れるか?」という数字。解像度を追い求めるとボケが汚くなったり、サイズが大きくなったりと、何事もバランスが重要。一本のレンズでも撮影距離、レンズの中央・隅で解像度が異なったりする。
- コントラスト。MTFというグラフで表示されていることがある。ぽちろぐはコントラストの高いレンズが好み。
- 逆光耐性。太陽光が斜めに入ってきた時に画面全体が白っちゃけたことはありませんか?そうならないのが「逆光耐性が高い」と言う。
最近のレンズはオートフォーカスですし、どれもそこそこ高性能です。「それじゃあつまらない」「エモくない」と、オールドレンズがブームになっています。骨太に写ったり、ボケがグルグルしていたり、全体に鈍い色になったり。面白いので別記事で紹介しています。ご覧ください。
ピントのこと
こちらに向かって走ってくる犬。望遠レンズで背景をボカしています。当然被写界深度が浅く、ピント合わせは至難です。
しかし最近のカメラは利口で、不規則な動きをする犬の瞳をしっかりとオートフォーカスで捉まえてくれます。こんな写真は一昔前なら熟練したプロでないと撮れませんでした。
おかげで、ピントを合わせる位置がメーカーのお仕着せになっているような気がしませんか?
上の写真はオールドレンズで撮りました。
ファインダー(EVF)を覗いてフォーカスリングを回し、ピント位置の変化を確認しながらシャッターを切っています。ここでは頻出する「i」に合わせました。
- ピントを合わせるためではなく、ピント位置や被写体確認のためのファインダーになってしまった。特にデジタル一眼末期の普及機は。
- ピンとリングの操作感がスポイルされた。マニュアルフォーカスモードに設定しても、シビアなピント合わせは望めない。
オートフォーカスは素晴らしいです。その進化は完全に人間の能力を超えています。しかし撮影・写真を楽しむ過程を手放してしまったような気もします。
お散歩撮影するなら、たまには冷たい金属の質感を持ったマニュアルフォーカスレンズを使ってみても楽しいですよ。
手振れのこと
ピンボケと並んで撮影の悩みは手振れです。
なるべく速いシャッタースピードを使う。
- シャッターは押し切る。連写しても気にしない。「ぽんっ」と跳ねるように押すのは最悪。
- 正しい構え方をする。特にファインダーがあるカメラは、ファインダーを覗く目の周りと両手の三点支持で安定する。
- グリップを深く握る。
- レンズは下側を持つ。逆手になる。
- 脇を締めて構える。
これだけで、目に見えて手振れが減ります。
ほとんどのカメラ・レンズには手振れ補正機能(IS/SR等)が付いていますが、いい加減にして良いものではありません。
一般に、しっかり構えて手振れしないシャッタースピードは1/焦点距離(秒)と言われています。最近多様している40mmレンズなら1/40秒ですね。5段分の手振れ補正機能があれば1秒まで手振れしない計算ですが、それはなかなか難しいところです。強力な手振れ補正機能があっても、実際には2〜3段が限界。頼るよりも保険と思っていた方が良いでしょう。
お勧めのカメラ
撮りたいものによってお勧めのカメラは違ってきます。ぽちろぐが目的別に選ぶお勧めカメラを紹介します。
だいたい何でも撮れてしまう万能カメラです。スペックだけでは分かりにくい「使いやすさ」があります。予算がたっぷりあって、より以上の画素数が必要ならR5もあります。
- 2400万画素フルサイズセンサー。
- 人の瞳はもちろん、動物や乗り物にも対応するオートフォーカス。
- 正確なホワイトバランス。
- 十分な連写速度。
- クリアで歪みの無いEVF。
- オールドレンズの利用に向いているとは言い難い。
最も売れ筋の「フルサイズミラーレスといえばα7」のIII型です。
キヤノンに比べると「素早く対応できる」よりも「設定すれば何でもできる」に向いているように思います。オールドレンズの利用が最初から想定されているようで、他のカメラに比べて偽色がでにくかったり、拡大表示がしやすかったりします。
最新のα7IVではなくIIIなのは、価格が手頃になってきたことと、IVは機能過剰に思えるからです。IVはボディが分厚いですし。EVFの見え方には難があると感じていますが、人気ありますね。
2022年には「カメラ部門売却の危機か?」とまで言われたニコン、大復活です。ハイモデルは重厚長大ですが、APS-CモデルのZ 50は「ほど良い大きさ」です。あまりに小さいのは持ちにくいのですが、Z 50はしっかりとホールディングできます。
EVFも大きく見え、表示品質も上々です。
ダブルズームキットがお得です。しかし「写真/カメラにちゃんと向き合う」なら、TTArtisan 25mm F2 APS-C(フルサイズ換算37.5mm)を追加すると楽しいです。
ぜひ一度使ってみて欲しいオールドレンズです。ぽちろぐ激推しです。50mmという名前ですが55mmぐらいで、ちょっと画角が狭いです。
- 29cmまで近づいて大きく撮れる。
- 骨太で色のりの良い写真が撮れる。
- 本体は細くコンパクト。
- 別途マウントアダプターが必要。
スピードライト(ストロボ)は、最近は悩ましいアクセサリーです。
- カメラの高感度性能が上がったおかげで、フイルム時代ほど使わなくなった。
- 純正品は高い。
- 使い始めると多灯発光などやりたくなるが、ますますお金がかかる。
そこでGODOXです。
- 独自のXシステムで多灯ストロボがかんたんにできます。こちらの詳細記事をご覧ください。
- 比較的安価で入手性良好。
- カッコイイ。
- 電池では無くバッテリーモデルもあり。
大きな三脚を持ち運ぶのは苦ですが、これならいかがでしょう?
- 名門GITZOの三脚がこの価格で手に入る。
- 小型軽量で毎日持ち歩ける。
- 至極シンプル。
- 低いので安定性抜群。EOS R6 Mark IIでも問題なし。高さは、高いところに設置するなど工夫して使う。
乾電池は充電タイプがオススメです。
撮影、楽しんでくださいね!質問も受け付けます。
この記事は2024/03/07に公開され2024/03/08に更新、63 views読まれました。