オリジナルバックロードホーン自作Part 01。

この記事は2020/06/29に公開され2020/06/30に更新、29回読まれました。

新型コロナ蔓延・打ち合わせ減る・自宅作業増加・PCに向かう時間が大幅に増える・FM(ラジコ)やiTunesを流し聴き・たまには音楽に没頭したい!

ということで導入したJBL Stage A130ですが、昔飼っていた「虫」が目を覚ましてしまいました。「オーディオマニア」という虫です。

30年前はネット黎明期(インターネットではない)でオーディオ全盛期?でした。長岡鉄男大先生(!)にハマり、最終的にはスワン(初期型)まで自作してしまいました。FE103も安かった(遠い目)。当時から板の裁断は東急ハンズ任せでした。自分で正確に合板を切るという自信は、全くありません。

当時購入した「長岡鉄男のスピーカー工作図面集」もあるので、適当に見繕って・・とも思いましたが、サイズに対する要求がシビアなため設計から始めることにしました。もちろん、マニアはバックロードホーン一択です(異論反論は多々あるでしょうが、好きなのです)。

企画

現状の不満点。

  • スピーカーの位置が高い。スピーカーユニットは耳の高さに揃えたい。
  • もっとハイスピードな音が好き。
  • 棚がたわんでヤバい。

妥協点。

  • ソースはラジコやiTunesが主。CDやハイレゾ音源・レコードはほとんど考慮しない。
  • マンションなので本当の大音量は出せない。

サイズ

  • サブロク板に合わせて全高91cmとする。机の両サイドに設置するとちょうどセンターで聴ける。
  • 机両脇に設置するため、横幅は抑えたい。ユニット幅ギリギリ+多少の余裕ということで12cmに決定。点音源らしさも狙えます。
  • 机の奥行きより小さくしたい。
  • 馴染みのあるFostex FE103(現在はFE103NV)を使用する。

設計

バックロードホーンの設計に必要な要素は以下の通りです。

  • 空気室(キャビネット)容量。一般的にメーカー推奨容量(バスレフ/密閉)で良いとも言われています。
  • スロート断面積。ユニットの性格・求める音色等によってかなり幅があります。真円に近いほど良いと言われています。
  • ホーン長。一般的に1〜3mですが、あまりに長いと低音が遅れて聞こえてきます。短いとホーンの意味がありません。
  • エクスポネンシャルホーンとした場合、スロートからの距離に応じた断面積。ラッパのように円形でなめらかに広がるのが理想ですが、工作上、段階的にならざるをえません。

調べておくべき情報。決めておくべきこと。

  • スピーカーユニット。上記の通り、仕上がりサイズと馴染み深さを勘案してFostex FE103NVを使用します。「バックロードホーン専用」を謳うFE108EΣを使ってもみたいのですが、価格が倍以上します。自作リハビリにはちょっと荷が重いです。
  • 振動板半径。実際の振動板面積を求めるため。ユニットのスペックシートに書いてあります。
  • Qo。ユニットのスペックシートに書いてあります。
  • ホーン長。1m程度とか2m程度とか。だいたいで。今回はバックロードホーンらしい鳴り方を目指して2mを目処にします。
  • fx。クロスオーバー周波数のこと。ユニット前面から出る音とホームから出る低音とのクロスオーバーですね。ユニットにかかわらず200Hzで決め打ちしてしまいます。
  • エンクロージャー(箱)の素材と板厚。昔はラワン合板またはシナ合板でしたが、今はMDFもあります。MDFは低価格で均質。多少重いのもエンクロージャー素材としては有利です。どの素材も「反り」の問題は抱えています。板厚は薄ければ安く・軽量・工作が容易です。厚いほど高価で重く工作が難しくなりますが、箱鳴りを抑えられ高級なスピーカーになります。今回のユニットは10cmと小口径ですが、バックロードホーンはエンクロージャーが大きくなるため12mm厚を選びます。

実際の設計。

外寸に余裕があるので、ホーン長は2mぐらいとれます。バックロードホーンらしい低音が期待できます。

まずはラフを描きながら「音道」を考えます。高さがあるので一番シンプルな方法が良いでしょう。

左上が空気室。その下には無駄な空間ができてまうのが悩み・・。板材もムダになるし、共鳴の恐れもあるし。まあ、ボチボチ考えましょう。

次にスペックを書き出して、スピーカーシステムの性格と勘案して設計値を決めて行きます。

  • f0=91.8Hz
  • mo=2.0g
  • Qo=0.46
  • 実効半径40mm/振動板面積50.24cm2

典型的な低域ダラ下がり/ハイ上がり/低質量で駆動力が高いタイプですね。

決めるべきは

  • クロスオーバー周波数:一般的に200Hzが良いと言われています。
  • スロート面積:Qoとスピーカーシステムの性格付けで決定します。
  • 空気室(キャビネット)容量:スロート面積とクロスオーバー周波数で決定します。
  • エクスポネンシャルホーンの広がり方:なめらかな曲線のホーンは家庭工作では作りようが無いので、段階的に広げていきます。音道10cmで45cm2、50cmで67cm2といった具合です。

スロート面積。

ハイパワーでバックロードホーン向けのユニットなら大きめ、バスレフ向けなら小さめにします。

スロート面積(S0)= ユニット実効面積×(0.5〜1.0)

Qoの値が高ければ掛け率を小さく、低ければ掛け率を大きくします。

FE103NVのQoは0.46とバックロードホーン用としては低い値とは言えませんが、小口径ユニットは全般的に高めです。その中で比較するとFE103NVのQoは低めです。0.7程度が妥当と思われますが、こればかりは作って聴いてみないと分かりません(^_^;

空気室容量。

小さくするとユニットに負荷がかかってバックロードホーンらしい音になります。

大きくするとホーンを駆動するところまでユニットのパワーが回らなくなり、長いダクトがついたバスレフのようになってしまいます。

Va(空気室容量:リットル)=S0(スロート断面積)×10÷fx(クロスオーバー周波数)

長岡鉄男さんが導き出した公式で、科学的な由縁は不明です。

FE103NVの場合、

4cm×4cm×3.14×10÷200Hz=2.5リットル

となりました。

ホーン設計。

エクスポネンシャルとは指数関数のことです。指数関数的に音道を広げていくと低音が増強されるというのが、バックロードホーンのキモです。

もちろん長ければ長いほどその効果は高まり、理想は無限ですがそれでは音が聞こえません。ホームンの外には音が漏れないのが前提ですから(^_^;

ホーンを途中でぶった切って出てきた音を聞くのですが、あまり長く取り回すと低音だけが遅延します。音速は秒速330mぐらいですから2mのホーンでは0.00606秒遅れます。うん、これぐらいなら分からないかな(^_^?

ホーンはスロートからの距離に応じて断面積を変化(増加)させて作ります。

これまででスロート断面積とエンクロージャーの内寸幅は決まっているので、あとは「広がり定数」を決めれば、添付のエクセルにデータ入力すれば広がり方は分かります。

ホーンの広がり方計算シート(エクセル)

図面に数値を入れる。

側面図で音道の幅は「折り返し地点で変更」する仕様です。

スロートは「真円に近いほど良い」と言われているので、せめて正方形に近づくように端材で内寸12cm→7.2cmに絞っています。

これを根気よく図面に落とし込みます。ちゃんと比率を正確に描いておくと後で楽です。

  • スロートからの距離を想定しながら幅を段々と広げていきます。CADソフトがあれば音道の中心点長さも正確に測ってくれると思います。私はIllustratorで作りました。
  • グレーの部分は、結局空洞のままにしてしまいました。どうなるかなあ?
  • 黒い部分だけは斜めにして、気持ちだけ「少し滑らかなホーン」にしてあります。
  • スロート部分はひしゃげた長方形にならないよう、55x514mmの板材を重ねて12cm→7.2cmに狭めました。工作上、これは失敗でした。精度が出ないです。
  • 背面上部の300mm長さの板は、気持ちだけホーン形状に役立っているかな?
  • 底面に重ねた板はホーン形状を作るためと、重石の意味もあります。

板取。

910x1820mmのMDFサブロク板で一本作るのが目標です。

超余裕でした(^_^;

コードを通す半円穴と、スピーカー端子取付穴も開けてもらいました。スピーカー端子取付穴はFostex P24Bサイズです。他のを使う場合は実物に遭わせてください。

工作

工作に必要なパーツと道具。

  • スピーカーユニット。今回はFostex FE103NV。
  • スピーカー端子。Fostex P24Bを使用。好きな物でOK。
  • ファストン端子。スピーカーユニットに合わせて205型を使用。案外と入手しにくいです。
  • スピーカーケーブル。内部配線用です。左右とも80cmに揃え、両端にファストン端子を取り付けて準備しておきました。
  • エンクロージャー。シナ合板やMDFが一般的です。私は不器用だし、マンションでは切断の際の木くず処理に困るので東急ハンズで切ってもらいます。
  • 吸音材。空気室でスピーカーユニット直後の反射をやわらげる為に少量入れます。ウールを使いました。
  • 木工用ボンド。余裕を持った容量で。今回は500g(大瓶)で少し余りました。
  • 木工用パテ。穴埋めに使います。
  • 濡れ雑巾。はみ出したボンドを拭き取るのに使います。終わったら捨てて良い物を。
  • 好みで、スピーカーユニットカバー。

工作の注意点。

  • 土台になる側板に、板を貼る位置を鉛筆で書いておきます。
  • 板は長いほど大きく反ります。これを完全に押さえ込むのはほぼ不可能なので、面の貼り合わせはなるべく避けます。最終的には釘で押さえ込むしかないかなあ?
  • ボンドはたっぷり塗って、乾く前になるべく正確に位置合わせします。はみ出したボンドは濡れ雑巾で拭き取ります。拭き取るとズレるので、また微妙に調整・・。
  • ボンドが乾くのを気長に待つこと。
  • 組み立て順序を常に考えて。
  • スピーカーコードは側板を閉める前に通して!!!

工作写真。

これで1本分の板材です。

貼り付け位置を鉛筆で記入。三角定規が活躍します。

スピーカーコードを通す穴。

スロートから最初の折り返し地点の出口。これが工作的には無理がありました。

スロート。板を重ねるのは避けた方が賢明。

おおっ、バックロードホーンっぽい!

斜め板との接合部。木工パテで埋めます。

斜めいたの上端。板の長さと側板に描いた図面とピッタリ一致。気持ち良い。

スピーカーケーブルを通し、吸音材を貼って側板を閉めれば完成です。

こんな感じで机の脇に設置。次、ちゃんと片付ける!!!

ちょうどサザンオールスターズの無観客ライブfrom横浜アリーナ「Keep Smilin’」放送。テレビじゃなくてMacの43インチモニタで部屋を暗くして。

感想。

今回の趣旨は「置く場所が決まってるんだから、そこに合った大きさなら巨大でも良いじゃん!」「作るならバックロードホーン!」ということでした。

  • ソースの関係(PCオーディオ&安価なD級アンプ)で、偉そうに音質について語ることはできません。しかし出てくる音楽は楽しい!の一言です。
  • 点音源効果で、ライブがメチャクチャ楽しく聴けます。楽器の位置が手に取るようです。
  • センターで聴く限り、スピーカーの存在を忘れます。スピーカーが鳴っているのではなく、ちょうどモニタの向こうでラジオDJが喋っています。
  • 低音はさわやかで高速です。「重低音」と呼べるものではありません。爽快な低音です。
  • 全体に「高速感」「粒立ち」といった感想が似合います。

たった数日ですが、エージングなのかボンドの乾きなのか分かりませんが音が落ち着いて耳に馴染んできています。

反省点。

実はこの前に一台、試作機を別設計で作りました。零号機です。シナ合板で作っています。

こちらはスロート幅を狭めて正方形に近く・・ということはやっていません。しかしホーン側の低音や高音の音漏れに特に問題は感じません。壱号機の設計は無理をしすぎたかな?ムダな空間や、貼り合わせによる精度低下とか。

ホーン長をもう少し長くとって、それでいて工作は容易になるよう次の設計をしてみたいと思います。その時はQoが低くてよりバックロードホーン向きなFE126NVにして低音も欲張ってみたいと思います。

FE83NV使用のA4サイズというのも面白そう。ホーン長は最大でも1mかな?A4サイズの書類を立てられるスペースって多いのですよね。

あと、P650Kによる超小型&安価なシステムも計画中。ホーン長70cm前後でどのような音になるか楽しみです。高さ280mm奥行き135mm前面幅92mmの予定です。もう少し高さを抑えたいなあ。

続きはPart02で。

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