キヤノンEOS R10レビュー。劇的に使いやすくなる、能力をフルに引き出すお勧めの設定。
2023年04月14日
いいですね、キヤノンEOS R10。小型軽量で上位機に負けないAF機能・性能。RF-Sレンズと組み合わせてシステム全体でも軽量です。いつでも気軽に持ち歩けます。
今回は街中スナップ、ライブ撮影等「素早く的確にきれいに撮れる」ことを主眼に、設定を煮詰めていきたいと思います。
EOS R10の良いところ。
- 小型軽量。バッグに楽々放り込めます。
- 深いグリップでホールディングが安定。
- RF-Sレンズも同等画角ならフルサイズ用レンズより小型軽量。トータルでシステムとして小型軽量。
- にもかかわらず、上位機と同等のAF機能・上位機に迫るAF性能を実現。
- サブ電子ダイヤルがある。
- マルチコントローラー装備。
- 必要十分なボタンを装備し、ワンタッチで設定変更が可能。EOS R50と比較して、これが唯一最大の差別化でした。
- 前世代のAFと違い、トラッキング機能がある。
- 前世代の瞳AFと異なり「全画面」以外でも使える。スポットAFや領域拡大AFでも瞳AFが動作するのは、使い方を一変させます。これはソニー等他社ではすでに実現していた機能なので、まさに「キヤノンユーザー待望の」機能でした。
この鳥の頭部を認識して合焦した時は驚きでした。
EOS R10の弱いところ。
- フルサイズレンズを使うと画角が焦点距離換算1.6倍になってしまうAPS-Cセンサー。
- 絶対画質ではフルサイズ機に負ける。
- 小さなEVF。じっくり撮るには0.95倍のファインダー倍率はなかなか厳しい。
- 持続時間が少々心配なLP-E17バッテリー。できれば2〜3個は予備が欲しい。
- SDカードのみ対応。CFExpressの書き込み速度になれてしまうと、ちょっと不満。
- 造りがプラスチッキー。特に底面のバッテリー室蓋の感触がチープ。
- 背面ダイヤルが無い。
- 上位機とはボタンカスタマイズできる項目に違いがある。
- 電源スイッチ操作時、サブ電子ダイヤルが動きやすい。
今選ぶべきEOS R10用レンズ。
RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM一択です。
このレンズはEOS M5で使っていたEF-M18-150mm F3.5-6.3 IS STMと同様のレンズ構成のようですが、とにかく使い出があります。換算28.8-240mmで、広角側はスマホ程度。キモは望遠側です。スマホメインで撮影していた人は、一眼カメラの威力を思い知ることになるでしょう。
あまり明るくはありませんが、それでも望遠側を開放で使えば大きなボケが楽しめます。
もう一本選ぶなら超広角ズームEF-S10-18mm F4.5-5.6 IS STMです。
沼にはまってきたら、シグマ30mm F1.4 DC HSMも良いかもしれません。換算50mmに近い画角で明るいレンズです。しかしEFマウントのためRF-EOS Rマウントアダプターが必要で、長く重いレンズになってしまいます。EOS R10用単焦点レンズは、とりあえず今のところ待ち状態ですね。
メイン設定。
- 「記録画質」はRAWまたはJPEG FINE L。縮小サイズ・低画質で記録する意味はありません。
- 「ISO感度に関する設定」はオート。「オートの範囲」は上限3200くらいが画質的には安心。状況に応じて設定。「オートの低速限界」は「自動設定」がおすすめ。上位機と違ってボディ内手ぶれ補正機能が無いため「速め」にすることも検討。
- 「フリッカーレス設定」は蛍光灯の瞬きを避ける機能。通常はOFFでOK。
- ホワイトバランスは[AWB]w。白熱灯下でも白を白として調整します。「雰囲気重視」だと、だいたい赤くなりすぎます。
- 「レンズ光学補正」は有効になっていることをレンズごとに確認。
- 「シャッター方式」は電子先幕がお勧め。
- 「カードなしレリーズ」は必ずOFFにしてミスを回避。
- 「手ブレ補正(IS機能)設定」は入。
- 「クイック設定カスタマイズ」はQSETボタンを押した時の設定可能項目を指定。必要に応じて設定します。
- 「タッチシャッター」はしない。タッチシャッターON/OFFボタンは背面モニタに常に表示され、非表示にする方法が不明です。誤操作につながるため、使わないのであれば完全に消したいところです。ぽちろぐでは使っていません。
- 「撮影画像の確認」「撮影画像の確認時間」は「切」。「ファインダー内表示」は「しない」。確認したい時は再生ボタンを押せば良いです。
- 「測光タイマー」は「8秒」。これは使用感で決めます。
- 「表示Simulation」は露出のみ。「露出+絞り」にすると被写界深度が確認できますが、動作が非常に緩慢になります。また暗所AFに不安が残ります。「しない」にすると露出補正が反映されません。
- 「OVFビューアシスト」は「切」。
- 「撮影情報表示設定」は好みで。表示情報を減らした方が使いやすいと思います。「グリッド」は9分割が使いやすいです。
- 「ファインダー表示形式」は「表示1」一択。表示2は少し小さく表示して画面全体を一瞬で把握しやすくするのですが、ファインダー倍率の小さなEOS R10では無用です。
- 「撮影画面表示設定」は「省電力」。
AF設定。
- 「AF動作」は「SERVO」。
- 「被写体追尾(トラッキング)」は「する」。EOS R10の目玉機能の一つです。
- 「検出する被写体」は必要に応じて。上位機と異なり「自動」はありません。「動物優先」にしても、人物のみを撮影する場合は人の瞳を認識してくれます。
- 「瞳検出」はもちろん「する」。
- 「プリAF」は「しない」にしておくと多少は節電になります。
- 「タッチ&ドラッグAF設定」はマルチコントローラーがあるので「OFF」。
- 「AFエリアの限定」は「スポット1点AF」「領域拡大AF」「全域AF」に限定。どのモードでも瞳AFが効きます。ぽちろぐでは領域拡大AFを多用しています。
機能設定。
- 「撮影モードガイド」は、もちろん「表示しない」。
カスタマイズ。
- 「露出設定ステップ」は「1/2」。
- 「ISO感度設定ステップ」は「1/1」。
- 「ISOオートで測光中にISO感度変更」はISOオートで撮影している時に強制的にISOを指定して撮影した後、自動的にISOオートに戻す設定です。「測光タイマー後オートに戻す」に設定します。設定しないと、うっかり固定ISOで撮影し続けるハメになります。測光タイマーはメイン設定で設定する4秒または8秒です。
- 「セイフティシフト」は「TV/AV」。エントリー機には搭載されない機能でしたがとても便利です。
- 「レンズなしレリーズ」は「ON」。
- 「電源オフ時のレンズ収納」は「OFF」。対応しているレンズが思いつきません。
ボタンカスタマイズ。
EOS R5/R6 Mark IIでは細かく設定しましたが、EOS R10ではデフォルトが一番使いやすくなりました。
- 「AFエリアダイレクト選択」を設定できない。
- 「領域拡大AF」でも瞳AFが可能になったため、AFエリアの変更頻度が大幅に減った。
- 上位機に無い「ISO設定」ボタンが最初から割り当てられている。
ダイヤルカスタマイズ。
「Mモード時」の設定しかできないため、デフォルトで使用。
サブ電子ダイヤルは露出補正が割り当てられています。
マイメニュー。
- 「ISO感度に関する設定」。メインは「ISOオート」ですが、三脚使用時、ストロボ使用時、画質重視時等、ISO固定にしたい時、元に戻したい時に迅速に対応できます。
- 「検出する被写体」。ペットや乗り物を撮る時、すぐに切替可能になります。
- 「カード初期化」。よく使います。
- 「節電」。動画撮影、ライブ中継等でよく使います。
追記:EOS R7との違い。
- EOS R7のバッテリーはLP-E6で、稼働時間の延長が期待できます。
- 一回り以上大きいです。
- 連続撮影速度に差がありますが、鳥や電車等の撮影でなければ困ることはないでしょう。
- ファインダー倍率が1.05倍と大きく、EVFを覗いた印象には圧倒的な差があります。上位機のサブとして考えるならEOS R7の方が良いでしょう。
- 記録画素数が多いです。
追記:EOS R8との違い。
- フルサイズ機で、絶対画質と高感度画質に期待できます。
- バッテリーはR10と同じLP-E17です。
- 実質的にEOS RPの後継機で、ボディデザインはほとんど同じです。しかし価格は倍以上になっています。
- EOS R8が10万円台になれば、入門機としてたいへんお勧めできるのですが・・・。
まとめ。
「領域拡大AFで瞳AFが可能になった」こと、「トラッキング機能が優秀」という2点で、設定内容が以前とはだいぶ変わりました。ほとんどデフォルトのままで使えます。
素早い撮影のためには「殺しておいた方が良い機能」の方が多い感じです。
【追記】RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STMが勝手にMFになるエラー。
EOS R10でRF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STMを使用中、数枚撮るとRF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STMが勝手にMFになっていることがあります。
当初は背面ボタンのカスタマイズを間違えたか?前面のAF/MFスイッチに触ってしまったかと迷いましたが、いずれも誤作動はしていませんでした。症状はRF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STMでのみ発生します。EF-S10-18mm F4.5-5.6 IS STM+EF-EOS Rマウントアダプターでは発生しません。
電源を入れ直しても回復せず、レンズを外して取り付け直さなければなりません。
この件はキヤノンに問い合わせ中です。
【追記】ファームウェア1.3.0が出ています。
https://canon.jp/support/software/os/select/eos/eosr10-firm
- スピードライト EL-5に対応しました。*AF補助光の自動調光機能には非対応です。
- RF-S55-210mm F5-7.1 IS STMに対応しました。
- 軽微な不具合を修正しました。
とのことですが、少し動作が安定したようにも思えます。
ファームウェアの更新はバッテリー容量が十分で時間的に余裕のある時に実施しましょう。
この記事は2023/04/14に公開され2024/01/21に更新、1,734 views読まれました。