世界初のグローバルシャッター方式フルサイズミラーレス、SONY α9 IIIが発表されました。
2023年11月08日
ソニーがついにフルサイズ・ミラーレス・グローバルシャッターのαを発表しました。価格は88万円前後。
連写は120fps。シャッター速度は最高1/80,000秒。ストロボは全速に同調(対応製品)。プリ連写で、撮影1秒前からの記録が可能(これ、よく分かりません)。
何がすごいかというと、グローバルシャッターです。撮れる写真が全く変わる可能性があります!
これまでのシャッターは
機械式シャッター(フォーカルプレーン)
- 横走りまたは縦走りの、布または金属の前後2枚の「シャッター幕」がセンサーの前を通過して露光時間を決めます。
- 通常は先幕がセンサーを隠しています(ミラーレスでは少し事情が違います)。
- シャッターボタンを押すと先幕が開いて露光が始まります。
- 設定したシャッター速度時間になると後幕が動いてセンサーを隠します。
- 先幕・後幕がセンサー前を通過する時間は0ではないので、センサー前(36mm程度)を走行するのにかかる時間より速いシャッター速度の場合、先幕が開ききる前に後幕が追いかけます。つまりセンサー前を「スリット」が通過します。
- その間にも速度が速い被写体は動いているので、例えば電車・車・バイク・ゴルフスイング時のクラブシャフト、野球のバットなどは歪んで写ってしまいます。
- またストロボの発光時間は一般的にシャッタースピードと比べて短いため「シャッターが開ききった瞬間に発光」する必要があります。先幕・後幕の走行速度が遅い場合「ストロボ同調する最高シャッター速度」が遅くなります。すると明るい所での日中シンクロがやりにくくなります。
これまでの電子シャッター
- これまでのセンサーは走査式といって「端から順番にデータを読み込む」方式でした。テレビの表示方式を思っていただければだいたいOKです。
- 順次読み出し式ということは、フォーカルプレーンシャッターと同様の問題が起きるということです。
- この「順次露光/読み出しによる被写体の歪み」を「ローリングシャッター歪み」と呼びます。
機械式シャッター(レンズシャッター)
- 最近はとんと見なくなりましたがハッセルブラッド500Cシリーズで有名なレンズシャッターの場合、上記ローリングシャッター歪みは原理的に起きません。
- ストロボも全速同調です。
- しかし機械的な可動部分の制限で、最高シャッター速度の限界が低くなっています。
グローバルシャッター
- センサーの全画素が同時に露光を開始、同時に終了します。
- 順次読み出しではないので、原理的にローリング歪みは発生しません。
- どんなに速いシャッター速度を使っても、被写体の移動との「ズレ」は発生しません。
より詳しくはこちらの記事が分かりやすいです。
https://dc.watch.impress.co.jp/docs/column/ml/1176043.html
スポーツ写真が変わるかも。
スポーツに限らず高速で移動する被写体、鳥・バイク・車・電車等の写真の「印象」が大きく変わるかもしれません。
超高速シャッターを使っても
- スリット移動時/順次読み出し時に、被写体の動きとのズレが発生しません。
- どんなに速くクラブをスイングしても、真っ直ぐなシャフトは真っ直ぐ写ります(しなりは考慮しない)。
- どんなに強烈なシュートでも、脚が歪むことはありません。
- ただし被写体の移動に伴うブレは、これまでと変わらずに発生します。
超超高速シャッター速度(1/8万秒とか)を設定して撮影すれば、全く歪みの無いゴルフスイングが撮れるかもしれませんね。
しかしこれまでの写真を見慣れた目には、たとえブレのある写真でも「写真らしい歪み」が無いことでかえって違和感を感じるかも知れません。
公式サイトhttps://www.sony.jp/ichigan/products/ILCE-9M3/にもまだ作例が十分に掲載されていないため実際のところは分かりませんが、楽しみです。
88万円かあ。
SONY αから離れてレンズ・機材を手放してしまったため、テスト環境を作るだけで100万円超かかるとなると、しばらくはぽちろぐでの「実体験ブログ」は難しそうです。
これまでグローバルシャッターは
- フルサイズを作ることがとても難しかった。
- 作っても、超高額だった。
- 画質に難があった。
と言われていました。それを解決したソニーはすごいですね。
EOS-1R/R1も、キヤノン独自のグローバルシャッターを積んでくるのかしら?それとも一気にSPADセンサーかな???
この記事は2023/11/08に公開され2024/01/22に更新、89 views読まれました。