撒き餌レンズEF50mm F1.8 STMをEOS Kiss X7で使ってみたレポート。
2017年01月06日
「撒き餌レンズ」とは、キヤノンEF50mm F1.8 IIが実売1万円以下で買えて、キットズームとは格が違う描写をしたためにそこから交換レンズにはまるきっかけになったことから付いた名前です。
EF50mm F1.8 STMは二代目撒き餌レンズ
レンズ構成はF1.8 IIとまったく同じですが、以下が変わりました。
- AFシステムがSTMになりました。いわゆる「ジーコモーター」からほぼ無音になりフルタイムMFになりました。
- MFリングがAF時非回転となっています。
- 最短撮影距離が一般的な45cmから35cmに大きく短縮されました。
- コーティングが見直され逆光等に強くなりました。
- 絞り羽根の枚数が増えて円形絞りとなりました。
- マウントがプラスチックから金属になり安心感が増しました。
- デザインが変わり格好良くなりました。特にMFリングが太くなり操作しやすくなりました。
描写に直接関係するのはコーティングの改良と絞り羽根の枚数ぐらいでしょうかね?昔のFDレンズではS.C.コーティングとS.S.C.コーティングの区別(単層とマルチ)がありましたが、それぐらいの差なのかなあ?絞り羽根の枚数が増えたのは大歓迎です。以前は絞った時のボケがガチャガチャしていましたから。
実用面ではAF時MFリング非回転が操作感の向上に大きく役立っています。もちろん、最短撮影距離35cmも特筆すべきポイントです。
本来はエントリーレベルフルサイズ(6Dですね)と、めっちゃ相性の良いレンズですが、ただいま私の手元にフルサイズ機はありませんのでEOS Kiss X7と合わせます。「撒き餌レンズ」と言われても、Kiss X7には最強のパートナーEF-S24mm F2.8 STMがありますからね。EF50mm F1.8 STMにどれだけ価値があるやら・・・?
50mmレンズはキヤノンAPS-C機に取り付けると、フルサイズ換算80mm相当の中望遠レンズになります。いわゆるポートレートレンズで、大きなボケと歪みの少ない描写を楽しむものです。スナップ用に常時取り付けておくには、ちょっとねえ。
実写
お、街角に見かける可愛い小物を撮るには、意外と良い画角です。
35cmまで近づけるのでクォーターマクロ(1/4倍)ぐらいの感覚で使えます。
なるべく開放付近で撮ってみました。中望遠相当とは言っても実焦点距離は50mm、F値は1.4でなく1.8ですからボケ量はそこそこです。それでもキットレンズとは比べものになりませんね。
慣れてくればけっこう街角スナップもいけるかも?
立体感を十分に感じられますね。
「切り取る」という言葉がよく似合います。
ギリギリ、黒つぶれにも耐えるようです。EOS Kiss X7のセンサーはもうだいぶ古いので、新しいカメラならもっと強いでしょう。
同じく、白飛びも大丈夫ですね。EOS 8000D世代のセンサーならば、もっともっときれいに出ます。
グッと絞り込んで撮影すると、かなりレンズの性格が変わります。
解像感高く、立体感もあります。
ちょっと「寄りすぎ」になりますが、テーブルフォトだっていけます。うーん、料理のどアップ写真になっちゃうかなあ?
ポートレートでは自然な距離感です。
けっこう飲んでるので目が赤いのはご愛敬(^_^;
F2.8まで絞っているので背景ボケボケではありませんが、女の子と犬がシャープに写ります。このあたりがこのレンズの本領ですね。
私は50mm前後のポートレートが大好きですが、80mm(相当)もアリですね。
F1.4だとピントが薄すぎて、動きの途中をパッととらえるのは容易ではありません。F2.8〜4まで絞って被写界深度をそこそこ稼いで使うなら、EF50mm F1.8 STMの描写は格上のレンズとも(うるさいことを言わなければ)良い勝負をするようです。
他の50mmと比較
旧型EF50mm F1.8 IIでF2.8に絞って撮った写真がありました。
左上の光彩がちょっとカクカクしていますね。絞り羽根の枚数とカタチって大事ですね。
EF50mm F2.5コンパクトマクロ。23cmまで寄れるハーフマクロです。
実にシャープですが黒つぶれが強いように思います。
あとね、このレンズはボケがグルグル・ザワザワしてうるさいんですよ。寄れるレンズは好きなので多用していましたが、他のレンズを使ってみて描写の差に愕然として手放しました。現在は廃番です。キヤノンは標準マクロが欠番状態ですので、新設計の物が出てくるのを楽しみにしています。
ジーコ・レンズでうるさいし、でもコンパクトでフード要らずで便利でした。
こちらはヤシコン・ツァイスPlanar 50mm F1.4。
ハマれば超面白いレンズです。明るく色ノリの良い軽快なレンズです。しかしボケはけっこううるさいですね。
開放で撮ると黒が締まらず、絞ると絞り羽根のカタチがボケに出てうるさいという、なんとも使い方を考えさせられるレンズです。しかしハマった時の描写はなんとも言えず・・どうしても手放せません。
さて、シグマが誇る50mm F1.4 Artです。
なんというか別格!
あらためて見ると「開放からシャープでボケも限りなくなめらか、解像感はカリッカリ」と、フルサイズ使いなら「これ一本あればいいんじゃね?」なレンズです。
開放で撮ればなんだって絵になりそうな気がしてきます(^_^;
総評
うーむ、ライバル達と比較すると、EF50mm F1.8 STMの弱点もさらけ出されましたが。
- 開放使用時の表現力は、コーティング改善でかなり向上した。
- 絞り羽根の改良で、少し絞った時のボケもなめらかになり、穏やかなボケを楽しめる。
- 最短撮影距離35cmは使える!
- 絞り込んだ時の解像感・立体感は、ライバルにもひけをとらない。
- 他のどのレンズよりも安く、小さく、軽い!シグマと比べると重量差は7倍以上。いつでも持ち歩けるし「もう一本持って行こう」と思っても負担にならない。
- フルサイズ機に乗り換えても継続使用できる。
- EOS Kiss X7には良いサイズ。
- EF40mm F2.8 STMと比較すると、EF-S24mm F2.8 STMを持っているならEF50mm F1.8 STMを選ぶべき。明るさ・ボケ具合がまるで違うから。
フルサイズユーザーなら、EF50mm F1.8 STMか、シグマ50mm F1.4 Artを10万円出して買うか?の二択でしょう。
EOS Kiss X7(または同クラスのカメラ)ユーザーならEF50mm F1.8 STMで決まりかなあ。
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こちらはいまさら言うまでもなく「Kissユーザーなら持っていて当然!」のEF-S24mm F2.8 STM。ズームキットを買ったら、一緒に買うべきレンズです。EF50mm F1.8 STMは、その次ね。
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ところで、EF50mm F1.8 STM程度のサイズでキヤノンにはEF-S30mm F1.4 USM(安ければSTMでも可)を出して欲しいものです。
この記事は2017/01/06に公開され、306 views読まれました。