キヤノンEOS M5とEOS Kiss X7、どちらを買うのが幸せになれるか?
2016年12月23日
EOS M5を購入してだいぶ使い込みましたので、主にEOS Kiss X7との比較もしながら評価してみたいと思います。
なぜEOS M5の対抗馬がEOS Kiss X7かと言うと、使用感として「M5は将来的にKissを置き換えうるマシン」だからです。機能・性能的にはKissとは比べるべくもなく進化していますが、プロシュマーと呼べるものではありません。造りは良いし来脳は高いけれど、使用感がねえ。
性能や機能だけの比較だったら、EOS 7D Mark IIが対抗馬ですよ。EOS 80Dになら楽勝できます。
結論から言っちゃうと(^_^)、今はまだEOS Kiss X7を買った方がかな〜〜〜り幸せになれます。その最大の理由は「価格」です。高すぎますよ、M5!
これから本格的に写真をやる人には、けっこういいかも?です。
- 機械としての質感が高い。適度なボタンとダイヤルが用意されている。
- 画質が大幅に向上している。
- 素晴らしいレンズ(主にEF-M22mm F2 STM)があり、コンパクト。
- 既存システム(EFレンズやストロボ類)との親和性が高いので、Mだから使えないということがない。
- 今後のカメラは、長い目で見ればミラーレスが主流になると思う。
なぜEOS Kiss X7対EOS M5なのか?
価格的に見ればEOS Kiss X7の対抗馬はEOS M10です。
しかしM10にはファインダーがありません。ファインダーの有無はカメラとして決定的に別物だという考え方で、EOS M5を対抗馬としました。
今のM5は「Mシリーズハイエンド」という位置づけでプレミア価格だと思いますが、元来一眼レフよりも低コストで作れるはずのミラーレスですから、近い将来はEVF付きモデルも大幅な価格下落が見込めると思います。
画質
キヤノンのセンサー、だんだん良くなっているように思うのはファンの欲目でしょうか(^_^?
2400万画素はたいへん使いやすいサイズです。トリミングしてもじゅうぶん使えます。世は高画素競争が再燃していますが、2400万画素って画質とハンドリングの良さのバランスが取れているんですよね。低スペックな私のマシン(Mac mini2014)でもLightroomを使って楽々現像できますし。速いとは言えないですけどね。
画質については、画素数、ダイナミックレンジといったハードウェアの問題と、ノイズ処理といったソフトウェアの問題、さらにホワイトバランスといった「設定」の問題が存在します。
また、レンズの収差補正(周辺減光や歪曲、非点収差、色収差等々)もあります。
素人が一つ一つチェックすることも不可能ですが、総合的に見て
- 画素数は十分。
- 穏やかで伸びのある色味になった。
- ノイズ感が減った。
と思います。
ボディ
コンパクトで質感良し
所有欲をとても刺激します。
ダイヤル・ボタン類の配置も【サブ電子ダイヤルを除いて】的確で、固さ・深さも絶妙です。うっかりと動画録画ボタンを押してしまうということもありません。
マウント
ガタツキが全くありません。安心して使えます。
特筆すべきはEF-EOS Mマウントアダプターです。1万円少々(実売1万円以下)なのに、精度が高く高速です。EF-S/EFレンズを安心して使えます。実用になります。α7(無印)のふにゃふにゃマウントとは大違いです。6万円のマウントアダプターを付けてもカクカクするんですもの、α7。
小さすぎるストラップホール
いきなりストラップの話です(^_^;
汎用性のある大きな穴にして欲しいです。純正しか使えないのは無理があります。
そもそも私は「滑り止めストラップ」が大嫌いです!カメラ1台だけ持って歩くわけじゃないし!自己主張が強すぎです。絶対に交換します。
キヤノンサービスセンターに電話して確認しましたが「万が一ストラップの金具だけ壊れたら交換してくれますか?」と聞いたら「ストラップをお買い求めください」とのつれない返事。EOS M2の専用ストラップで懲りたんじゃないのかしら?まさかこいつでユーザー囲い込みとか思ってないよね?
メイン電子ダイヤル
EOS Mシステムはこのダイヤルですが、EOS一眼レフに比べて指の動きが不自由です。質感はたいへん良いのですが、最高とは言いにくいです。
サブ電子ダイヤル
DIAL FUNC.ボタンの付いたサブ電子ダイヤル、広告では大々的にフューチャーされていますね。ところが設定できる項目がとんちんかんです。ISOはともかく、AFモード等、他で設定しやすくかつほとんど変更しないものばかり用意されています。いらないんじゃね、これ?
しかも位置が深く、EVFを覗いた状態では回しにくいのです。
私はISO専用ダイヤルに設定して使用しています。
背面ダイヤル
触感が良くありません。価格なりに高級感のあるものにして欲しいです。
誤って押してしまうことはあまりありませんが、「バリ」があるような不快感があります。
設定は自分に合ったカスタマイズをしましょう。
シャッターボタン
AFとAEスタートのための「半押し」の感覚があまりありません。ちょっと深すぎる感があります。
露出補正ダイヤル
最高!
ミラーレスは露出補正がダイレクトに確認できるので、出番が増えます。それが素晴らしい位置に素晴らしい触感・重さで物理的に用意されているのは最高です。
これは1/3段階設定で良いですね。
電源スイッチ
EOS一眼レフ中級機と同様になりました。しかし電源オンオフを頻繁にしたいミラーレスとしては、ニコンスタイル(シャッターボタン周り)が良かったんじゃないかなあ?
Kissのようにオフ→オン→ビデオにしなかったのは大正解です!あれは急いで操作するとビデオになっちゃうんですよね〜。
視度調整スライダー
EOS一眼レフのダイヤルと異なり、EVF下にスライダーとして用意されています。使いにくいですが、一度設定すればそうそう変更するものでもなし。勝手に動いてしまうことも、今のところありません。
視度調整は必ず設定しましょう。EVFの見え方が全く変わります。
バッテリー
以前の記事で書いたとおり、ストロボさえ使わなければ1000枚近く撮れます。
使い勝手
レスポンス
良好です。特に電源をオンにしてから使えるまでの時間が圧倒的に短縮されました。
ただし、電源オフでもいつでもファインダーを覗けば見える一眼レフとの「感覚の差」は存在します。
ミラーレスに慣れましょう。
露出ステップ
1/3段階しか設定できません。1/2、1段階の露出ステップを選択できるようにして欲しいものです。
例えば絞りを変更する際にF2→2.2→2.5→2.8となります。
Avモードで撮影する時、私はF2→2.8で十分なんです。せいぜいF2→2.5→2.8で。
うざいんですよ!2と2.8の間に2段階もあると!!!
マニュアルモードの時には必要なシーンがありますが、AEではどうせ(シャッタースピードが)無段階制御になるのですから、露出の正確性のためには必要ないのです。
いろいろなカメラマンに対応するため、メニューで変更できるようにしてください。
画面拡大
まったく使い物になりません。少なくとも「手持ち」では。カメラをMFモードにしてダイヤルを回して、復帰時には「MENU」ボタンを押さないといけないなんて、三脚で接写する人専用ですね。
画面中央で良いので、ワンボタンで拡大できるようにして欲しいです。
フルサイズに対して焦点距離1.6倍にクロップされてしまうキヤノンAPS-C機としては、オールドレンズの母艦にしようという気はないのでしょうが?それにしたってこの仕様はないわあ。
AF
かなり高速ですが、EOS 7D Mark IIを持ち出して比較すると遅いです。ただしレンズが違うのでなんとも言えないところではあります。
アルゴリズムは、近くばかりを選びすぎる傾向があります。もう少し中央寄りを選ぶようにして欲しいです。
顔認識はしっかりしています。
瞳認識はありません。DPAFのみでコントラストAFが無いので、搭載できないのでしょうか?キヤノンはコンデジでも瞳認識ってフューチャーしてないですよね(寡聞かもしれません)?
電池蓋
コンデジスタイルになりました。一眼レフはKissを含めて「ツメ」をひっかけて開くタイプでしたが、蓋全体をスライドさせるスタイルです。これは爪の短い私でも使いやすいです。
DIAL FUNCボタンを押してからサブ電子ダイヤルを回すまでの時間制限が厳しすぎる。すぐに復帰してしまうのでなんとかして欲しい。実用にならない。
合焦してからAF駆動するまでに「グググっ」とモーターがひっかかることがある。
レンズ
EF-M15-45mm F3.5-6.3 IS STM
沈胴式の標準レンズです。
意外と良いのでビックリしました。歪曲は大きいように感じますが、補正しちゃえばいいでしょう。解像感も感じます。色ノリも良好です。プラスチックマウントなのは値段なりというところでしょう。
EF-M22mm F2 STM
フルサイズ換算35mm相当のパンケーキレンズです。これがあるから、私はEOS Mシステムに手を出しました。
一言で「良い」!
EF-S24mm F2.8 STMに相当します。しかもずっとコンパクト。
歪曲はけっこう大きいですが、色ノリと解像感でお釣りがきます。
またF2と大口径なので、たっぷりとボケが楽しめます。もちろん暗い所にも強いです。
新品で2万円前後と思いますが、程度の良いものが1本だけ13800円で出ていましたので中古を購入しました。必携です!
EFレンズ+マウントコンバーター
ビックリするほど「当たり前」に動作します。
EF-Mに無いレンズはこちらを使えばOKです。ライブ、風景、ポートレート等、撮影目的が決まっていてあまりレンズ交換をしない場合は、EFレンズ+マウントコンバーターで困ることは何もありません。
EFレンズとEF-Mレンズを併用する場合、レンズリアキャップで混乱すると思いますので注意しましょう。
EOS Kiss X7対決
私自身はEOS M5を持ち出すことが圧倒的に増えました。
- 大好きなEF-S24mm F2.8 STMと同様に使えるEF-M22mm F STMがあり、しかも大きなボケも期待できる。
- よりコンパクト。ただしX7よりは重い。
- 圧倒的な画質差。
- どちらも予備バッテリーは持って歩くので、電池の保ちは特段の問題にはならない。
でも、ほとんどの人にはEOS Kiss X7を勧めます。
- EOS Kiss X7の方が動作が安定している。M5は電源オンにしても動かなかったり、電源が切れなかったり、レンズが駆動されなかったりといった不具合が見られる。近いうちにファームウェアアップデートで解消されるとは思うが、待った方が良い。
- ブログへの掲載、おうちプリントであればEOS Kiss X7の画質も捨てたものではない。いやいや、十分に高画質。比較しなければ、ね。
- 安い。これが最大の理由。EOS M5の15-45キットで12万円超、EOS Kiss X7の標準レンズキットで4万円前後。EF-S24mm F2.8 STMも2万円以内。半値で素晴らしいレンズを使えます。
- 操作や設定が、EOS Kiss X7の方がシンプル。「お勧めする」ということはその後のサポートも頼まれることが多いので、コレ、大事です。
EOS 8000Dと比べたら?
悩ましいところですね。
18-135mmキットで9万円前後と価格差は大幅に縮小されますが、それでもまだ1.4倍くらいあります。
システムの充実度は8000Dが上です。
ここは携帯性と将来性にかけてEOS M5を選ぶというのもありかもしれません。
EOS 7D Mark II対抗?!
価格的に一番近いのがEOS 7D Mark IIという罠!EOS M5に1〜2万円足せば7Dが買えてしまいます。価格差よりも重量差が決定的です(^_^;
ここはカメラ使い方次第で選択が変わってきますね。
- いつも持ち歩く、コンパクトで高画質なカメラが欲しければEOS M5。
- 動体撮影が中心で、大きな高級レンズを使いたければEOS 7D Mark II。
どちらもアリだと思います。
これから
現時点でのEOS M5は「キヤノン初の本気ミラーレス」という位置づけでしょう。
カメラ・機械として本気になって作ったけど、ちょっと盛り込みすぎちゃったなあ〜感があります。「どうだ!すごいだろ!?」的な。
- キヤノンはまだミラーレスを一眼レフの代替・将来型としては見ていないように感じる。
- ミラーレスはコンパクトを第一義にしている。特にレンズラインナップがそれを語っている。ミラーレスどころか、APS-C機全般にも同じことが言える。
- 「ハイエンド」と言うには、コンデジのデザインを取り込みすぎている。特に背面ダイヤル類やSDカードスロット。
- EVF付きミラーレスの第2弾に期待。操作系をもっとシンプルに持って行くか?もっと軽量化を図るか?一眼レフスタイルと決別してPCのように自由な設定ができるようにするか?
- フルサイズミラーレスに期待。本気で一眼レフの代替を狙ってくるか?別路線か?
キヤノンがユーザーの意見を吸い上げてくれることを祈ります。
現在までに私が遭遇した不具合
- 電源を入れるとモニタは点灯するが、まったく動作しない。ボタン類・ダイヤル類が何も反応しない。電源を入れ直すと回復する。
- 合焦サインが出てもレンズが駆動されない。電源を入れ直すと回復する。
- 突然「カードエラー」と表示される。SDカードを抜き差しすれば回復する。
以下、続報あるかも?
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今更ながら、これ買っておけば良かったな(^_^;
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価格:56330円(税込、送料無料) (2016/12/30時点)
この記事は2016/12/23に公開され、79 views読まれました。
記事、楽しく読ませていただきました。私はX4から始まり、6D, 5DMK3, 5DsRになっています。2週間前、スペインに行きましたが、カメラがやけに重い感じで、歳を痛切に感じました。コンデジかミラーレスか買い足そうか思い始めて、この記事に目が止まりました。重さだけならX7でしょうが、M5, M6も候補かなと思いますけど、どうでしょうか?レンズはEF24-105mm, EF70-200mm, EF100mm Mivlus 21mmをもっています。
嬉しいコメント、ありがとうございます。
最新のフルサイズと比べると、やはり画質はセンサーサイズなりです。スペイン旅行ともなると「ああ、もっと大きなカメラで撮っておけば良かった」と思ってしまうかもしれませんね。
そうは言ってもカメラを持ち出すこと自体が苦になってはしかたありませんから、Mシリーズの選択は良いかもしれません。M5のセンサー、APS-Cとしてはとても頑張っていますよ。
問題はレンズですね。
お持ちのレンズは全て重量級。私はシグマ35mm F1.4 Artを使っていますが、マウントアダプター経由で重量級レンズを付けるととても不安です。
・ストラップが外れそう。
・ボディが軽すぎて手持ちではバランスが悪い。
・首掛けでぶら下げて歩くと暴れる。
現在のレンズを使われるなら、EOS 6D Mark IIを待つのが良いでしょう。
EOS M5・6はEVFの有無だけの差と考えて良いでしょう。M6、ギアっぽくてかっこいいですよね(^_^
レンズは11-22・18-150mmの組み合わせがお勧めです。
22mmの単焦点だけで街歩きも楽しいです。
現システムと比較すると、さすがにX7は時代遅れですね。センサーだけ2400万画素になればまだまだ通用すると思いますが、1800万画素センサーは、正直に言って画質がかなり劣ります。
検討・導入されたらまたぜひ教えてくださいね!