EOS R 50mm標準レンズポートレイト比較。RFレンズは凄かった。
2019年10月14日
実戦投入し始めたEOS R。
今のところの感想は
- ライブ撮影では「瞳AF」+「コンティニュアスAF」で歩留まりが大変高く。EVFの遅さやシャッターが切れるまでのレスポンスの悪さにも目をつむってしまいす。
- お散歩レンズとしてRF35mm F1.8 IS マクロSTMは優秀。ボケ味がなめらかで、手振れ補正も強力です。
- RF24-105mm F4L IS USMは標準ズームとは思えないほどの解像力とボケ味の良さです。気を抜いたライブ撮影ならこれ一本で!普段使いにはちょっと大きくて重いんですけどね。
- EF16-35mm F4L IS USM、EF70-300mm F4-5.6 IS II USMといったEFレンズも、EF-Rマウントアダプターでなんのストレスも無く使えます。
- EF50mm F1.8 STMとの組み合わせは、マウントアダプター付きなのにとてもコンパクト。EF50mm F1.8 STMの近接撮影能力と相まってテーブルフォトに最適です。
といったところ。
「ミラーレスになって、RFレンズになって、画質(特に解像力とボケ味)が良くなった!」
するとやはり、ポートレイトが撮りたいじゃないですか。そもそもポートレイトを撮るのが好きで写真やってるんですから。
ポートレイトレンズは50mm。
一般に人物撮影で好まれるレンズは、
- 超広角で手足の長いポートレイト。
- 誰もが認める85mm。
- 大きなボケと引き寄せ効果の300mm。
- いやいや、古いと言われようと(復権しつつある)135mm!
「ポートレイトレンズ」はカメラマンの数だけ定番があります。それが、私の場合は50mm。
- 極端なパースがつかず、自然に写ります。
- 引き寄せ効果が弱いということは、デブに見えません。
- モデルに声が届く距離で撮れます。
- 明るくてコンパクトで軽量で、比較的安価なのもオススメの理由です。
そんな時に「美品・緊急値下げ」で入手してしまったRF50mm F1.2L USM!(ザックリとした話、10万円ぐらい安くw)
ズームレンズのRF24-105mm F4L IS USMがあんなに良いのだから、クソ高い単焦点標準レンズが悪いはずが無い!F1.2のボケ量だって魅力!
ということで撮り比べてみました。
エントリーは
- RF50mm F1.2L USM
- EF50mm F1.4 USM
- EF50mm F1.8 STM
- Meyer-Optik Gorlitz Domiplan 50mm f2.8(ボケ味が独特なトリプレット/三枚玉)
- Zeiss JENA Tessar 50mm F2.8(定番・本家テッサー)
- INDUSTAR 61L/Z-MC 50mm/F2.8(ダビデの星ボケ・近接能力高し)
比較ポイント
最重要は「ボケ味」だと思っています。ボケがうるさいと、せっヵくピント面がシャープでもザワザワした感じになってしまいます。二線ボケ・玉ボケの輪郭(光点のエッジ)などが特に気になりますね。
次にコントラスト。高いほどスッキリした印象になります。低いと優しい感じになります。よくカタログに書いてある「MTF曲線」というやつですね。
そして解像度。現在のレンズはほとんど「解像度至上主義」ですが、そこまで必要か?実写で見てみます。
全レンズ手振れ補正は無いし、オールドレンズは拡大表示でピントを合わせているため、すべて三脚を使用して手振れ・ピントずれを防いでいます。
全てRAWで、Lightroomでストレート現像しています。一部の写真は明るさのみ補正して他と揃えています。
画像はフルサイズを縮小表示しています。クリックしてLightBox表示し「ダウンロード」ボタンを押すと原寸でご覧いただけます。
遠距離撮り比べ。
最初に、オールドレンズを交えた遠距離カット。オールドレンズに合わせてF2.8で撮影したので、ボケ量は同等です。
さて、どれがどのレンズでしょう?
1.
2.
3.
4.
5.
6.
分かりますか?
分かりやすいのは左下の木のボケ方です。
答えは
- Meyer-Optik Gorlitz Domiplan 50mm f2.8
解像度が最低で独特の描写をしていますね。 - RF50mm F1.2L USM
- Zeiss JENA Tessar 50mm F2.8
解像感は低いですが、優等生な感じがします。歪曲が実に小さいです。 - EF50mm F1.8 STM
- EF50mm F1.4 USM
- INDUSTAR 61L/Z-MC 50mm/F2.8
明らかに画角が違いますね。歪曲はかなり大きいです。
- オールドレンズは全て、後ろのモニュメントが白く飛んでいます。レンズ設計なのかコーティングなのかは分かりません。また暗部も潰れがちですね。
- キヤノン純正レンズはRFもEFも、肌の描写がよく似ています。またF2.8まで絞ると解像力もあまり差が無いように見えます。
- EF50mm F1.8 STMだけ、同じ絞り値にも関わらず被写界深度が深く見えるのは何故でしょう?
- EF50mm F1.4 USMは、左下の木のボケがなめらかではないように見えます。明暗のコントラストがきついというか、階調が飛んで見えるというか?
全身カットF2.8。
RF50mm F1.2L USM。
EF50mm F1.4 USM。
EF50mm F1.8 STM。
絞り値を揃えると、どれがどれやら?ボケ味からは判別つきません。
原寸表示すると、F1.2は解像度・コントラストとも最高。F1.8は中間、十分な解像度。F1.4は解像度・コントラストとも少し物足りない気がします。
全身カット開放。
それぞれのレンズの開放を比べてみます。
RF50mm F1.2L USM。
EF50mm F1.4 USM。
EF50mm F1.8 STM。
F1.2、圧倒的なボケ量です。かつ、解像度・コントラストとも維持しています。被写体の「立ち上がり感」がすごいですね!
F1.4のボケ味は、ミラーレンズ(望遠)で撮ったリングボケのような?
バストアップ開放。
RF50mm F1.2L USM。
EF50mm F1.4 USM。
EF50mm F1.8 STM。
ここまで被写体に近づくと、背景のボケ量はもちろん差はありますがどれも十分ですね。
F1.2開放のボケはさすがに幻想的です。しかし口径食(ボケがレモン型になる)が意外と大きいですね。
F1.4とF1.8は芝部分がザワザワしています。これはF2.8程度まで絞った方が滑らかになります。
F2.8でも十分にモデルの「立ち上がり感」は感じられます。
F1.2は解像感・コントラストとも最高。F1.4は解像感低め、F1.8は解像感・コントラストとも十分です。バストアップと変わらない結果です。
ポートレイトらしい露出で撮ってみました。F1.2開放です。
ピントは瞳AFに任せて手持ち。右目だけにピントが合い、肌も前後にボケてなめらかです。背景ボケもパッと見すっ飛んでいるようですが、ちゃんとニュアンスが残っています。
バストアップのオールドレンズは面白い。
一番派手な収差を残しているMeyer-Optik Gorlitz Domiplan 50mm f2.8を開放で。背景がグルグルして、光点もいびつな形です。ピント面はちゃんと合焦しているのに軟らかい感じ。
ちょっと絞ると(F4ぐらい)。
だいぶ落ち着いてきますが、グルグルボケが被写体を際立たせてくれます。バストアップぐらいで使うオールドレンズは面白いですね。
どの50mmが良いでしょう?
ボケ量に満足できるなら、現時点ではEF50mm F1.8 STMが良いと思います。
- 解像度はF1.2には負けますが、十分です。
- STMモデルになってマルチコーティング(S.S.C=マルチコーティング/IIまではS.C=シングルコート)になり、コントラストも十分。
- ボケ味がうるさくない。レモンボケも目立たない。
- 軽い。マウントアダプター経由で使ってもコンパクト。
- ミラーレスで使うとSTMのデメリット(スリープする)が気にならない。
- 1万円台で買える。
F1.4は(開発の)放置プレイが長く続き、解像感・コントラストとも不満足です。ある意味「オールドレンズ」と呼んでも良いと思います。
F1.2はさすがの性能で20万円台の価格も納得ですが、開放で使うにはNDフィルター必携です。そして1Kg近い重さ。
RF50mm F1.2 USMの問題は?!
素晴らしいF1.2ですが、問題もあります。
- でかい・重い。光学性能を突き詰めるとこうなっちゃうのは、シグマが走りですね。対して、ライカのMはあんなに小さいのに・・。まあAF積んでないし。
- 高価。普通の人は買わないですよね?
- ポートレイト用として考えると、解像度高すぎ!妙齢以降のお嬢様を撮ると、毛穴が写りすぎて(^_^; このまま解像度落としたバージョンが欲しいぐらいです。
EF50mm F1.4 USMのコントラストを改善して、ボケ味を良くして、手振れ補正つけてなおかつ軽く作ってくれたらベストだなあ。
この記事は2019/10/14に公開され、301 views読まれました。